月明かりの本殿、神戻る 京都・下鴨神社「正遷宮」
２１年に一度の式年遷宮を迎えた京都市左京区の下鴨神社（賀茂御祖（みおや）神社）は２７日夜、修理を終えたばかりの二つの本殿（国宝）に祭神を戻す正（しょう）遷宮（遷座祭）を行った。月明かりの下、祭神が宿るご神体を古儀にのっとって移した。
平安時代から続く伝統行事で３４回目。再生を繰り返して神の永遠を祈る神事でもある。２年前、本殿を修理するためにご神体を仮殿に移していた。
午後７時過ぎ、神職や勅使の堤公長宮内庁掌典（しょうてん）たちが、かがり火に導かれて本殿に向かった。本殿と仮殿の扉が音を立てて開けられ、拍子木の音を合図に周囲の明かりが消されると、勅使と新木直人宮司（７８）らが白い布で囲まれた回廊に入った。警蹕（けいひつ）とよばれる「オー」という声と雅楽が響く中、ご神体と神宝を仮殿から本殿に運んだ。
約１時間半に及ぶ儀式が終わると、神職たちは神前で喜びの舞を披露した。新木宮司は「お遷（うつ）しがすみ、ほっとしている。災害がなく、平穏な時代が来るようにと祈りました」と話した。
２８日午前には非公開の奉幣（ほうべい）祭がある。２９日～５月６日まで、本殿近くでお参りできる昇殿参拝と、一番祈祷（有料）ができる。