ワーキングホリデー制度で日本に滞在中の台湾人女性が、ブログに生活記録を残している。アルバイトのこと、人間関係について、そして台湾にいる彼氏のことなど、考えて思い悩む日々だそうだ。ブログの主はnil(ハンドルネーム)さんで、誕生日の3月には彼氏が日本に祝いに来てくれた。
誕生日を一緒に過ごし、観光地を巡るなど楽しかったようだが、一番うれしかったのは「早咲きの桜の花を見た」ことだという。「今回の旅で桜を見るのは無理だと思っていたので、満開ではなくともたった1本でも見れたことは、幸せな気持ちになった」と、恋する乙女心をのぞかせた。日本の代名詞ともいえる美しい花を恋人と見ることができたのは、記念とも言える思い出になるだろう。
彼氏が台湾に戻った後はアルバイトに精を出した筆者は、春の日本の行事とも言える「送別会」に出席したとのこと。「4月の日本は昇格する人、部署が変わる人、転職する人が多く人事異動のピークを迎える」と説明した。台湾では学生の新学期は9月に始まり、企業の年度も1月か2月開始の場合が多く、日本の慣例を知らせたかったようだ。
飲食業界で働く筆者自身も「厨房スタッフという裏方から、新たにレジ担当に変わった」そうで、突然の業務変更に戸惑ったという。だが周囲の日本人は親切で、同郷の台湾人に出会う機会もあり、筆者は前向きな姿勢を維持できているようだ。「台湾人のお客さまが来ると日本語を中国語に変換する時間がかかるが、レジで母国語を話せるのは嬉しい」と喜んだ。
また「中国(大陸)の人は無口な場合が多く、何も言えなくなる」と述べた。それら中国(大陸)人と接することで、「台湾の境遇についても考えさせられる」という。台湾と日本は深い友好関係にあるものの国交は結ばれておらず、微妙な立場でつらい思いを抱いている経験を持っているようだ。
苦労しているのは、レジのお金を数える業務だという。「日本の硬貨はよく似ていて見分ける努力が必要。中国語で黙々と数えている」と述べ、日本生活が約半年になるが慣れないと訴えた。台湾人、いや外国人にはお金の区別は難しそうだ。若い筆者だが日本という異国で労働しながら、国と認められていない台湾の存在や台湾人としてのアイデンティティを意識している。
人間関係に恵まれているとはいえ少なからず悩みはあり、仕事面での頑張りも要求されるだろう。そんな筆者の心の支えになっているのは、やはり彼氏の存在だ。「撮ってくれた自分の写真を見ると、私はまるで一人旅をしているよう。でも実際は2人で旅した思い出。日本生活も日本で彼に会ったことも、雪を見た時と同じ夢のような気持ち」とブログを結んだ。
次に彼に会う時、筆者は一緒に台湾に帰りたいと述べた。日本に迎えに来てほしいそうだ。その日を心待ちにし、「日本にいる間は努力を続けながら懸命に生活すれば実現する」と信じているという。筆者がなぜワーキングホリデーを利用し、滞在場所としてなぜ日本を選んだのかなど詳細はわからない。
だが日本にいることで故郷台湾や自分が台湾人であることを実感し、生活を体験することで自分みがきをしているのだろう。筆者も彼氏も日本好きと思われ、遠距離恋愛を成就させて幸せになり、日本の良さや苦労した内容を伝え継いでほしいものだ。