世界で最も難解だと言われているグーグルの入社試験。この試験問題にレゴが使われていることはあまり知られていない。
4つのポッチが2列並んだ最も基本的なレゴのパーツ。これが6つあったらいくつの組み合わせができるだろうか。答えは9億1510万3765通り。いくつかのレゴブロックと想像力があれば、無限に形を作り出せる。
レゴがすばらしいのは、無限の創造力だけではない。その根底には「子供に最高のものを」という一貫した哲学が流れている。
大量のブロックを整理する基本は、色で分類することだ。しかし、セットに必ず入っているが、圧倒的に数が少ない色があるのをご存知だろうか。緑だ。レゴ哲学のひとつに「戦争を子どものおもちゃにしない」というのがあり、緑が多くなると子供が戦車や戦闘機を作ってしまうという理由から、緑の数を少なくしているのだという。
1999年の発売以来レゴ最大のベストセラーとなっている「スター・ウォーズ・シリーズ」も、題材が“宇宙戦争”だっただけに、導入には紆余曲折があったらしい。結局「スター・ウォーズはリアルな戦争ではなくファンタジーだ」というトップの英断により受け入れたのだという。
レゴブロックの普遍性は完成されたそのフォーマットにある。1958年にデザインが決定され、1963年に現在と同じABS樹脂が素材として採用された。年間生産量は約360億個、現在世界に散らばっているブロックの総数は6000億個以上といわれる。これは地球上の人間ひとりにつき約80個ずつ行き渡る計算になる。
またレゴブロックは17万回繰り返し使える耐久性を持っているという。だから20年前にお父さんが遊んでいたレゴブロックを押し入れから引っ張り出してきても、そのまま現行のシリーズにぴったりとくっつき、いまの子供もまったく同じように遊べるのである。
レゴに興味を持つ大人ために、「レゴランド・ディスカバリー・センター東京」では、2013年から「大人のレゴ教室」を開催している。定員は40名だが、毎回満席という人気イベントなのだという。講師は大澤よしひろさん。2010年の「テレビチャンピオン特別版レゴブロック選手権」(テレビ東京)の優勝者であり、「マスタービルダー」の称号を持つレゴ職人だ。
さっそく5月23日に開催された「大人のレゴ教室」に参加してみた。今回は中級・インテリア編で、課題はスマホスタンド。まずはみんなでスマホのモックアップ(模型)と土台となる部分を制作する。そのあと後ろに置かれたブロックの山から好きなパーツを選び、各自で自由に制作していく。友達同士での参加者も多いが、制作中はみんな真剣そのもの。カチャカチャというブロックを組み立てる音だけが教室に響く。試行錯誤すること約1時間、チェック柄やアルファベット、顔文字や建物、動物など各々の作品が出来上がってくる。完成が近づくにつれ、まわりの参加者と作品を見せ合いながら談笑する余裕も生まれてくる。
「想像したものを表現できる材料というだけでなく、コミュニケーションツールとしての役割もレゴの魅力のひとつ」と語る大澤さん。
童心に返ってふたたびレゴを触ってみてはどうだろうか。大人になったからこそわかる、レゴの深イイ世界を味わえるかもしれない。