中国元最高指導部メンバー周永康への無期懲役の判決が11日に発表された直後、共産党機関紙・人民日報は、どんな高位の幹部も汚職取締りから逃れられないという主旨の社説を発表した。一連の状況から大紀元コラム二ストは「周の黒幕である江沢民・元最高指導者と曽慶紅・元国家副主席に対する取り締まりはこれから始まる」と先を見据えた。
4月3日に起訴、5月22日から非公開での公判、そして昨日の判決発表。党内序列9位だった江沢民派の中心人物である周は起訴事実をすべて認めた。順調な裁判の流れから、江沢民派が最高指導部での権力基盤を失い、反撃すらできない現状が浮き彫りになった。
江沢民
曽慶紅
外部予想の「執行猶予付き死刑」より軽い量刑と、周が罪状を認めたことについて、大紀元コラムニストの夏小強氏は、周は同党で黒幕の江沢民氏と曽慶紅氏らの犯罪を自白するなど司法取引を行った可能性が高いとみている。今後の展開について「周は、習近平陣営にとって江氏と曽氏を取り締まる重要な武器である。外堀はすでに固まり、両氏を逮捕し裁判にかける本戦はいよいよこれからだ。これは習陣営の常用戦術である」と予想した。
中国政府系メディアも興味深い報道を出した。判決発表直後に出された共産党機関紙・人民日報の評論報道は「権力と職務のランクを問わず、だれもが『鉄帽子王』(免罪符をもつ高官)になれない」「この持久戦、攻防戦で必ず勝利を収める」と意味深なメッセージを連発した。汚職取締りは周永康で終止符を打つことではなく、もっと官位の高い高官に及ぶことを示唆したと思われる。
在米中国経済学者の何清漣氏は米国VOAに発表した評論文で「この鉄帽子王の表現は江沢民氏と曽慶紅氏の二人をけん制しているほかない」と見解を述べた。
周の無期懲役の量刑基準となった収賄、職権乱用、故意に国家機密漏えいの三つの罪について、香港在住の故・趙紫陽・元総書記の秘書・鮑彤氏は「法輪功関係者に対する臓器狩りの罪が裁かれなかったのはとても残念だ」と述べた。
ニューヨーク・タイムズ紙は「周の実際の罪状は判決内容を遥かに超えている」と報じた。