米国メディア「The Seattle Times」で、日本の温泉に入る猿に関する記事が掲載された。
同メディア内のブログ「Pacific NW Magazine」では、長野県の地獄谷温泉で、恍惚(こうこつ)とした表情で温泉につかる日本猿の様子を写真とともに紹介した。猿たちが目を閉じて、温泉につかりながらうっとりとした表情は、まるで人間のようだ。
地獄谷温泉の猿たちは、温泉に入る猿として有名だ。もともとは普通の野生の猿だったが、野猿公苑内で餌づけされ、生活に余裕ができたのか、ある日、1頭の子猿が近くの旅館の露天風呂に偶然入ったのをきっかけに、猿の間で温泉入浴が流行していったとのこと。
また、旅行に関する情報を提供する米国ブログ「SPOT COOL STUFF」でも、地獄谷温泉に入る猿たちの様子が報告された。
ブログに掲載された写真を見ると、猿たちが温泉の中で毛づくろいし合い、うとうととまどろみ、時には勢いよく飛び込む姿が見られる。その表情や動作は、体が毛深く顔が赤い以外には温泉を楽しむ人間と変わりがない。
猿たちは普段、野猿公苑内に作られた猿専用の露天風呂で入浴を楽しみ、その周囲を多くの観光客がカメラを抱えて取り囲んでいる。しかし実は、もう1カ所猿たちの入浴先となっている場所があり、それが地獄谷温泉唯一の宿にある露天風呂だ。
ブログの筆者は、猿との混浴時間として狙い目である早朝に入浴し、猿との混浴写真の撮影に成功したようだ。「宿の露天風呂は宿泊客専用だが、このルールを霊長類である猿に通達する者はいない」と語り、さらに、「猿たちは人間に慣れていて、かみついたりしない」と、猿との混浴の安全性について言及した。その文章からは、人里離れた地の貴重な温泉を、人と猿とが共有していることに、驚きよりも面白みを感じている様子がうかがえる。
しかし、ほんの1~2メートル程度離れただけで、同じ風呂に人と猿とがつかっている写真には、「ここは驚くベき場所だ!」、「風呂の中でおしっこをしませんように」、「猿は水が嫌いだと思っていた」などと、驚きのコメントが寄せられている。
日本だけでなく広く外国にも知られるようになった「温泉に入る猿」は、「スノーモンキー」と呼ばれ、地獄谷温泉は外国人にも人気の観光スポットとなっている。