裕隆が生産能力倍増へ、設立来最大の増強計画
自動車大手、裕隆グループの中核企業、裕隆汽車は28日、80億台湾元(約260億円)を投じて2018年までに台湾での生産能力を倍増する計画を明らかにした。1953年の会社創立以来で最大規模の設備拡張となる。29日付主要各紙が伝えた。
苗栗県三義郷の工場で、200ヘクタールの土地に新工場を増設する。年産能力は現在の12万台から24万台に増える見通し。三義工場では1991年以降、生産ラインの増設などは進められてきたが、大規模な設備の拡張は約20年ぶりとなる。
裕隆汽車の姚振祥総経理によると、今回の大規模拡張計画の主な目的は、グループの自主ブランド「納智捷(LUXGEN)」の生産と販売を強化するため。納智捷は毎年1車種以上の新車を発表する計画で、加えてグループ全体で海外市場への売り込みも強化しているため、グループの今後の主力製品になることが見込まれる。裕隆汽車の現在の生産規模では3年内に設備がフル稼働となる見通しのため、大規模な設備拡張に踏み切った。
■露や比でも
姚総経理はまた、台湾のほかロシアやフィリピンでも組み立てラインの設立を計画していることを明かした。欧州や東南アジア諸国連合(ASEAN)のほか、海外市場進出に向けた主要生産拠点とする。
グループはこのほど、ロシアの自動車メーカー「ダーウェイズ」と提携し、納智捷の現地生産を開始した。新車販売が年間300万台に上るロシア市場での商機を狙う。また姚総経理によると、現在ベトナム市場向けでは試験的に台湾から納智捷の完成車を輸入し販売する形式を採っているが、将来はロシアと同様に部品を台湾から調達し現地で組み立てるノックダウン生産も検討する。
夜市に最も必要な物はゴミ箱?『遠見』調査結果
海外からの旅行客に高い人気を誇る台湾のナイトマーケット(夜市)で最も必要とされるものはゴミ箱だということが、台湾のオピニオン雑誌、『遠見』の調査で分かった。
1080人が対象のこの調査の結果によれば、回答者のうち40%は毎月、少なくとも一度はナイトマーケットに行き、回答者のうち88%は友人などと自分の好きなナイトマーケットで飲食や買い物を楽しんでいる。一方で、回答者のうち51%は、ナイトマーケットは雑然としており、環境面で改善が必要だと考えているという。
さらに、回答者のうち90%は、ゴミ箱を増設する必要があると考え、80%はナイトマーケットにおける油の使用がもたらす大気汚染の問題を改善し、使い捨て食器を減らすべきだと考えているという。
今回の調査結果を受け、交通部観光局は、コンビニエンスストア、セブンイレブンの基金会や中華電信などの大手企業の関係者と共に台湾各地の学生凡そ3万人を集め、9月29日に全国の18のナイトマーケットで大規模な清掃活動を行うという。
18U野球W 杯、30日に開幕
IBAF(国際野球連盟)が主催する18歳以下の野球の世界一決定戦、18U野球ワールドカップが、明日30日から9月8日までの10日間、台湾中部・台中市のインターコンチネンタル球場など台湾中南部の3球場で行われる。
参加国は、中華民国台湾の他、日本、韓国、オーストラリア、アメリカ、カナダ、メキシコ、キューバ、コロンビア、ベネズエラ、チェコ、イタリアの計12か国で、30日からの1次ラウンドは、6チームずつA組、B組の2グループに分かれる。そして、各グループの上位3チーム合計6チームが9月5日から2次リーグを戦い、上位2チームが8日に決勝戦を行う。
日本と同じA組の中華民国台湾は、最高152キロの右腕、宋文華・投手、今年の高校生ドラフトでプロ入りした左腕の江辰晏・投手など、安定した投手陣を中心に守り勝つ野球を目指す。
また、日本チームは、この夏の甲子園大会の優勝投手、群馬・前橋育英の高橋光成投手、プロ注目の左腕、神奈川・桐光学園の松井裕樹投手、強肩強打で知られチームの主将をつとめる大阪桐蔭の森友哉捕手など、高校球界を代表する選手が勢ぞろいした。
なお、中華民国台湾の初戦は、30日午後7時から行われるメキシコ戦。
AIT:中華民国台湾はアメリカの重要なパートナー
アメリカの対台湾窓口機関、AIT(アメリカ在台湾協会)のレイモンド・バッガード理事長が、中華民国台湾はアメリカの重要なパートナーだと述べた。AITのバッガード理事長は28日、アメリカと中国大陸の政策に関する基金会の活動の中で、「アメリカは、馬英九・総統が堅持する、台湾は自信をもって中国大陸側と交渉するという信念、そしてこの自信は台湾が中国大陸の軍事的脅威を抑止する能力を持っている事から生まれるという点について、尊重し、そして支持する」と述べた。
バッガード理事長はまた、アメリカは、アメリカと北京当局の人員が会談した場合、常に台湾に内容を伝えているとし、最近では、アメリカのオバマ大統領と中国大陸の指導者・習近平氏との会談、ならびにアメリカ、中国大陸間の戦略経済対話について台湾に報告するとともに、アメリカの考えを説明していると明らかにした。一方で、台湾もまた、北京当局との複雑な対話についてアメリカ側に伝えているという。
バッガード理事長は、「オバマ政権は、過去4年間、台湾の権利を尊重するという立場から、双方の関係を北京当局との関係における議題の一つではなく、台湾を重要なパートナーとして考え、尊厳をもって向き合ってきた」と述べた。
セントルシアのバナナ生産量向上を支援へ
セントルシアのバナナ生産量向上を支援へ
中華民国台湾と、西インド諸島の友好国セントルシアが、バナナのブラック・シガトカ病防止計画で協力していくことで合意した。セントルシアに駐在する章計平・中華民国大使は現地時間の28日、セントルシアの農業相と、細菌性のバナナの疫病、ブラック・シガトカ病防止協力計画にサインした。
章計平・大使によると、中華民国はセントルシアにおけるブラック・シガトカ病防止の第一期計画で、すでに症状を抑え込むと同時に農薬の管理メカニズムも築いている。このほど始まるのは二期目の計画で、モデル農場の確立、ならびに病気に強い品種や教育訓練の提供を通じてセントルシアのバナナ農家の生産量が増やせるよう協力する。
セントルシアの農業相によれば、2011年、セントルシアのバナナ生産量は病気のため7000トンまで下落したが、昨年は台湾が病気の抑制に協力したことで1万2000トンまで回復。今年は気候がよければ1万6000トンが見込め、農家の収入も増やせるとして、セントルシアは台湾の支援に感謝した。
行政院長、電気代引き上げで「物価注視を」
行政院長、電気代引き上げで「物価注視を」
江宜樺・行政院長が、電気料金の引き上げを10月に控え、不当な値上げが起きないか注視するよう指示した。江・行政院長は29日、電気料金の引き上げは電気事業者の経営の為にはやむなしとの見方を示す一方で、値上げが市場に心理的影響を与え、物価へ波及する事のないよう行政院では特別チームを結成し、便乗値上げなどには適切に対処すると明らかにした。
経済部の張家祝・部長は29日、閣議で、電気料金引き上げに関する新たな調整案について報告。毎月の使用量が住宅で毎月500キロワットアワー以下、また、小規模商店で1500キロワットアワー以下は調整を行わない事、また中大型規模の商業店舗と工業用については、当初の引き上げ率の90%とするという。
江・行政院長は、個人住宅、小規模商店、また企業など大口事業者に関わらず、政府はその影響を最低限にしたとした上で、、行政院主計総処及び台湾のシンクタンク、中華経済研究院の予測では、今年のGDP成長率への値上げの影響は0.02ポイント未満だと説明した。CPI(消費者物価指数)上昇率に対する影響も0.06ポイント未満だとしている。
しかし、電気料金引き上げによる便乗値上げなどで、短期的に物価が上昇する可能性があることについて、江・行政院長は、物価に異常な動きがないかを細かく調査する専門チーム「行政院物価安定チーム」を設置し、不適切な状況が見られた場合は適切に対処するよう指示した。
台風15号で中南部で豪雨、浸水被害も
台風15号の影響により、台湾中南部で豪雨。台風15号は、台湾本島の東の海上を28日から29日にかけて北上、台湾時間の29日午後8時の時点では、台北市の北北東約240キロメートルの海上にあり、1時間に22キロから28キロメートルの速さで、北北東から北東に向かって移動している。中心気圧は995ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は秒速20メートル。
台風15号は台湾本島には上陸しなかったものの、台風に伴う気流の影響で中南部に豪雨を降らせ、各地で被害が出た。影響を受けたのは中南部の雲林県、嘉義県および嘉義市の嘉義エリア、南部の高雄市、屏東県などで、29日午前0時から午後5時までに台南市虎頭埤で666ミリ、屏東県大漢山で639ミリ、雲林県虎尾で601ミリなど各地で大量の雨が降った。
雲林県及び嘉義エリアは、浸水による深刻な被害が出ており、国道及び自動車専用道の一部区間では冠水で通行止めに。嘉義市政府は7つの橋梁を通行止めとした他、29日午前6時から阿里山公路など山岳地帯へのルートを事故防止のため閉鎖した。閉鎖解除については天候の状況を見て判断する。
また台南市でも各地で豪雨による浸水被害が出ている。最も深刻な被害が出ている新化区では虎頭渓の増水により浸水、深さは一階の軒下まで達しており、台南市消防局が出動してボートによる救助活動を行った。台南市は午前7時に、台南市災害対応センターを設置した。
台湾では台風の被害が予想される場合、自治体が政府機関の休業や教育機関の休校措置を発令する。しかし、29日午前、台南市では通常通りとなっていたため、被害の出ている地区の住民から不満の声が上がった。これについて、台南市の頼清徳・市長は、「早朝の雨の一部は上流に降り、その後、下流に流れた。また一部は下流で土地の低いところに降り、浸水が起きた。ただ、出勤時間にはすでに雨は止まったように見えた。それに、中央気象局の予測が休業休校措置を出す基準に達していなかった」と釈明した。
また、雲林県の雲林および斗六でも早朝に豪雨となり、線路が冠水、南部行きの下り列車が運休となった。自強号、莒光号など、南部発の上りの長距離列車も、台南駅で足止めとなった。
高雄市でも、28日から一晩中豪雨となり、多くの場所で冠水。29日の午前中には10人の児童と教師を載せた送迎バスが冠水のため立ち往生し、警察、消防が大型救援車が出動して救出にあたった。高雄市の陳菊・市長は、29日午前、各地の水害の被害状況を視察、関連部署に対して全力で対応するよう指示した。
バスよりも…安全・快適な交通手段はやっぱり新幹線=台湾メディア
快適で安全な日本の新幹線に、台湾メディアが注目。「決して高くない金額設定」など、分析した内容を掲載した。
台湾・中央社(CNA)は、「日本には、新幹線の乗車券が高過ぎると指摘する若者がいる」と報道。「夜行バスに乗ってみると、違いがわかる」とし、「東京から大阪までの新幹線代は、13000円前後。移動時間は最短で2時間35分だ。一方夜行バス利用だと8―9時間かかり、ゆったり座れるシートの乗車券を買うと1万円程度で新幹線とあまり差が無い」と新幹線を勧めた。
すなわち、3000円前後の「料金差」と5−6時間前後の「時間差」を考えたとき、“移動時間の節約”の観点では新幹線利用の方が効率的と伝えたかったようだが、夜行バスは移動時間を睡眠時間にあてることができるメリットには触れられていなかった。
中央社は新幹線の安全面を訴え、「東海道新幹線は、トンネルや鉄橋など大掛かりなメンテナンスを実施中」、「鉄道工学専門家によると、年間12万回も走っている東海道新幹線の、時間誤差はわずか36秒」、「東日本大震災発生時2000人以上を載せていた新幹線もあったが、世界トップ級の地震予測システムが搭載されており、惨事は起こらなかった」と、日本の新幹線の安全性や時間の正確さを強調している。
続けて入口に金箔を飾った車両や、高級寝台車など特別仕様の車両が準備されていることも報道。「10月15日、JR九州は豪華な寝台車を持つ“ななつ星 in 九州”の運行をスタートする。アジアのハイエンド市場にも営業し、日本の良さを伝えたいと息巻いている」と、台湾の旅行者を取り込もうとしていることを示した。
“ななつ星 in 九州”は日本初のクルーズトレインで、九州の和の魅力を知る旅を提供するとのこと。スイートルームやラウンジがあり、季節の料理が味わえるダイニングカーもありで、まさに動く高級ホテル。1泊2日の2名利用だと、基本旅行代金が1人あたり15万円を超える。日本の情報に敏感で、新しい物が好きな台湾の人々は多い。九州へ旅行する時には、ゴージャスな気分になれるクルーズトレインを利用するケースが増えていきそうだ。車窓から眺める日本の風景は、新鮮に映ることだろう。
台風で日本人建設のダムから水あふれる「観光にはチャンス」
台風15号のもたらした大雨の影響で、台湾南部にある烏頭山ダムの水が急増し、29日午前8時半ごろにはあふれだした。ただし、ダム関係者は「観光にはまたとない機会」などと述べており、ダムの安全には問題がないようだ。台湾・聯合報などが伝えた。同ダムは戦前に日本人技術者の八田与一(八田與一)氏が先頭に立って建設した。現在も日本統治時代の「プラスの象徴」とされている。
烏頭山ダムは台湾で最も広い平野の嘉南平野の農業用水源になっている。嘉南農田水利会の邱清義総幹事によると、烏頭山ダムの水面は29日午前8時半ごろに、満水位の58.18メートルに達し、水がダム上端部分からあふれだした。
台風15号が一帯にもたらした大雨で、ダム湖の水は1晩に1000万立方メートル増加した。ダム管理員のひとりによると「恐ろしいほどでした。水の増加は想定をはるかに上回っていました」という。そのため、(28日からは)24時間体制で監視したが、今のところ異常は伝えられていない。
邱総幹事によると、ダムから下流側に水が流れおちる壮観な様子が眺められるめったにないチャンスと、観光客がつめかけている。ダム関係者も「近くに行って鑑賞できます」と述べており、ダムの安全には問題が出ていないようだ。ただし、下流部分の川が増水したため、警察は一部の橋を閉鎖した。
烏頭山ダムの建設は1920年から30年にかけて。同ダムと用水路の建設により、旱魃(かんばつ)被害が多発してた嘉南平野の耕作地15万ヘクタールで、安定して農業が営めるようになった。同時期に作られたダムの多くが土砂に埋まって使えなくなったが、同ダムは土砂がたまりにくい構造に設計されたため、現在も機能を維持している。
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◆解説◆
台湾ではこのところ、馬英九政権が行政文書で、台湾の日本植民地時代を指す用語を「日拠」に統一すると発表して、議論が続いている。「日拠」は「日本による占拠」を意味するが、それまでは中立的な用語の「日治」と混在して使われていた。
馬政権の方針に対しては「反日的性格のあらわれ」、「中国に媚びる体質」などと批判が出た。
台湾の歴史教科書では、「日治」という表現が一般的で、植民地支配した日本の行いについては、正負の両面が記述されている。烏頭山ダムの建設は、日本人が台湾の発展に貢献した代表例として取り上げられている。
烏頭山ダムの湖畔には、八田与一氏のほぼ等身大の銅像が設置されている。湖面を見つめてすわり、物思いにふけるような像だ。同銅像の前では毎年、八田氏の命日の5月8日に慰霊祭が行われている。
第二次世界大戦末期や戦後になり蒋介石政権が進出した際には、地元の人が八田氏の像を持ち去って隠した。隠した人を特定する資料は見当たらないが、日本による金属類回収令や、蒋介石政権による日本統治時代の顕彰碑を破壊する命令に抵抗して、像を守ろうとしたためとされている。像は1981年に、改めて現在の位置に設置された。
南シナ海・太平島での新埠頭、2016年にも供用開始
南シナ海の島々のうち台湾が実効支配している太平島で新しい埠頭(ふとう)の建設が2014年から始まり、早ければ2016年にも供用を始める見通しとなった。与党・国民党の林郁方立法委員(国会議員)が29日明らかにした。
南シナ海で中国大陸をはじめ、周辺各国・地域の動きが活発になっていることを受け、行政院では先月、総工費約33億7377万台湾元(110億3100万円)にのぼる今回の建設プロジェクトを承認、プロジェクトの開始時期について当初予定の2015〜16年を2014年への前倒しを決めた。
現在の太平島には埠頭の機能を備えるトレッスル橋しかなく、橋の老朽化もあり入港できるのは排水量6トンの巡視艇のみ。しかし、新しい埠頭の供用開始に伴い、中・大型の巡視船はもちろん、海軍の一部の戦闘艦も接岸できるようになり、周辺海域での警備力強化が期待される。埠頭建設のほか、島内にある空港の滑走路延長も予定されている。
台湾南部・高雄から南西へ約1600キロ離れた太平島は、南沙(スプラトリー)諸島で最大の島。中国大陸やベトナムも領有権を主張しているが、2000年以降島の防衛にあたる海岸巡防署(海保に相当)が昨年9月、定例の射撃訓練を初めてメディアに公開し、中華民国(台湾)の主権をアピールした。
南台湾の深刻な台風被害に日本の駐台代表から見舞状
日本の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所の樽井澄夫代表は30日、台風15号が台湾に深刻な被害をもたらしたことに対し、台湾側窓口・亜東関係協会の李嘉進会長あてに見舞状を送り、台風の被災者が一日も早い日常生活への復帰を祈る旨を伝えた。
台風15号に起因する豪雨により、台湾中・南部を中心とする各地で水害が相次ぎ、多くの家屋が浸水などの被害に見舞われた。行政院農業委員会のまとめによると、30日午前9時時点で台風による農業被害は1億8732万元(約6億円)と2億元近くに上っている。
台湾の国富上昇幅、純資産額も粗資産額も過去最高
行政院主計総処が29日発表した2011年末の国富(資産から負債を差し引いた正味資産)が前年比7.9%増の147.2兆元だった。これは減価売却控除後の純資産額で、控除前の粗資産額は前年比7.6%増の187.4兆元だった。両者の上昇幅はいずれも国富調査が始まって以来の最高を記録した。
土地資産の増加が国富を押し上げた主な原因とされており、平均して国民1人あたり前年比7.6%増相当の634万元、一世帯では同6.28%増の1826万元の純資産を持つことになっている。
しかし、不動産価格の高騰で一世帯あたりの負債額も平均で163万に増え、これまでの最高となった。
(1元=約3.28円)
野村総研の主席研究員、アベノミクスを評価も「過度な円安にご用心」
野村総合研究所の主席研究員でチーフエコノミストのリチャード・クー(辜朝明)氏が29日、台北市内でのシンポジウムに招かれ基調演説を行った。
このシンポジウムはアジアの政治・経済情勢や景気見通しを考えるもので、台湾のシンクタンク「台湾経済研究院」主催で行われた。
クー氏は、安倍晋三首相が進める経済政策「アベノミクス」の“3本の矢”のうち、円高の是正などを柱とした“1本目の矢”(金融緩和)について「世界と投資家を元気づけた」とその効果を評価する一方、「望ましい為替水準は95〜100円で、105円を超えると輸出の伸びがもたらすメリットはエネルギーの輸入コストの増加で減る」などとして過度な円安や債券市場のバブル化を警戒した。
また、消費税率の引き上げについては「いずれにしても実施に踏み切るだろう」との認識を示しながらも、大規模な公共事業など財政出動による景気刺激策の必要性を強調した。