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(CNN) 香港でこのほど、世界初のハローキティ中華レストランが開店した。サンリオの人気キャラクター、ハローキティはアジア各地で愛されており、香港でもフライパンや電卓など、あらゆるもののデザインに登場する。ハローキティの顔の焼き跡をつけるパン焼き器まであるが、中華レストランは初めてだ。
新レストランの名前は「ハローキティ中菜軒」。料理の値段は42~238香港ドル(約670~3800円)。このうち半数がハローキティ関連だ。
店外では赤と金で描かれたハローキティの看板が正面を彩る。この2色は中国の伝統で縁起がいいとされている。格子窓はリボンの形だ。
ハローキティは店内にもあふれている。箸、箸置き、皿、おわん、スプーン、急須、天井の照明、壁の装飾、ワイングラス、ワインボトル、椅子など、至る所にあしらわれている。テーブルにまでハローキティの似顔絵が彫り込まれている凝りようだ。
まず始めに出てきたのは、柔らかくておいしい、カスタード入りの蒸し饅頭(1箱で42香港ドル)。続いてエビギョーザ(48香港ドル)と広東風の蒸しパン(48香港ドル)。あまりにかわいいため口に入れるのがはばかられたが、点心は冷めてしまうと具合が悪いので、ハローキティに謝って食べた。いずれもおいしいのはうれしい驚きだ。ハローキティ関連の食べ物はこれまで、味がいま一つだった。
ファンなら誰もが知っているように、ハローキティの好物はお母さんが作る自家製のアップルパイだ。そのため、料理にはリンゴが繰り返し出てくる。酢豚(98香港ドル)にはおなじみのパイナップルではなく、リンゴを使用。リンゴを使った鶏飯もある(108香港ドル)。
ご飯はハローキティの顔をかたどった形で盛り付けられている。黒豆を目に、ニラをリボンに、赤ピーマンを鼻に、ナスの皮をひげに見立てている。
デザートは中国伝統のあんにんスープ(38香港ドル)。スープの中にはハローキティの形をした赤いゼラチンが入っている。
店の特色はハローキティ関連の仕掛けだけではない。料理のいくつかには、地元で栽培した有機食材を使用している。店主のマン・クオン氏は、起業家として農薬や添加物に頼らない生活を促進。ハローキティのレストランを足がかりに、香港のライフスタイルをより健康なものにしていきたい考えだ。
可能な限り有機食材を使っているほか、天然着色料を用い、塩や油は控えめにしている。蒸し饅頭とエビギョーザを例に取ると、ハローキティのリボンのピンクはビート根で、鼻の淡いオレンジはニンジンで、ひげと目の黒はイカ墨で着色されている。
店の細部へのこだわりには驚くばかりだ。開店準備が進められた1年半、内装から料理に至るまで全てに関して、ブランドを保有するサンリオの許可を取った。同社からは、ハローキティの好みや家系に関する情報まで提供されたという。
料理の中には、サンリオがレシピに許可を出すまで7回も試作を重ねたものもある。シェフのチャン・コクツン氏によれば、ハローキティの顔立ちをうまく再現するのが最も難しかったという。
点心には特に手間がかかっており、通常の2倍の時間をかけて作る。特別の計量器も開発された。このレストランに来るまでハローキティについて何も知らなかったという同氏だが、今ではすっかり好きになったという。
客席は70席あまりで、料理によっては1日の量が限定されている。大勢の場合は「リンゴ閣」と名付けられたVIPルームを使うのがお勧めだ。中国式の絵巻が飾られており、中国史に名を残す「四大美人」に見立てたハローキティが描かれている。