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中国共産党、「おばちゃん」を利用して国民を監視 密告者として「活躍」

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中国の中年女性というと、路肩に座って世間話をしたり、広場で音楽をかけて社交ダンスに興じるような姿が思い浮かべられる。「大媽(ダーマ、おばちゃんの意味)」と呼ばれ、親しみやすい存在であるはずだが、なかには共産党が指揮する社会の秩序維持のため、市民の監視役を担う熱心な政治要員がいるという。

 密告者として「活躍」するおばちゃんたち

 北京には、ボランティアの市民が公安局に属して秩序維持に協力する「情報員」が存在する。街を巡回し、人々の会話に聞き耳を立て、特定の場所に立ち市民を監視している。旧東ドイツには、同様のシステムが存在した。一般市民が国家保安省へ情報提供するスパイに成り代わり、互いを監視していた。

 同市西城区では、こうした監視役を大媽が担っているという。北京青年報12日付は、同区政法委員副書記・王静氏の話として、同区市民監視役7万人のうち5万人が58歳~65歳の中高年女性であると伝えた。のこりは駐車場管理者、警備員、清掃労働者など。王氏によると、彼女たちは日常生活や仕事中に監視役として動き、疑わしい状況を発見した場合、警察に情報提供する。

 旧東ドイツの秘密警察は市民監視のために、何十万人もの公式・非公式の情報提供者を抱えていた。その数は6.5人に1人ほどと言われている。旧東ドイツにも見られたように、このような情報員は秩序維持を手伝うだけでなく、家族や友人などの政治的見解を調べ、報告する密告者にもなった。

 このような市民の有志情報員は「刑事犯罪よりも政局不穏な動きを摘発する。もし情報量が多くなければ、誰かの私生活を探るようになる」と、中国情報ニュースサイト大参考の元編集者・洪寛氏は米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)に解説した。「このような行為は文化大革命時には見られたが、法律の整備された社会には適さない。8~9割は誤報だろう。厳しすぎる制度は人々の生活にかなりの不便をもたらす」と付け加えた。

 北京青年報が伝える警察発表によると、15年上半期の密告情報数は約1万件。捜査に役立つ情報を提供したとして、1~4月の4カ月間で753人の情報員に合わせて報奨金56万元(約1100万円)を支払ったという。昨年の報奨金合計は209万元(約4200万円)だった。

 「世界第5位の諜報機関」と絶賛する国営メディア

 北京市内ではこのような情報員をしばしば見かける。紅い腕章を付け、紅い野球帽を被り、2人以上のグループで街を巡回している。彼女たちはルールブックを読み、「疑わしい」状況や人物に遭遇した時の対処法を学んでいる。

 情報員の存在について、国営メディアは絶賛している。パトロールに熱心な高齢姉妹の話や、娯楽施設従業員や学生など様々な職業の「正義感があり犯罪と闘う」有志者が多数いるなど、その有意性をアピールしている。

 新華社は、あるネット市民の「世界第5位の諜報機関」という例え話を取り上げた。米CIA、旧ソ連KGB、イスラエルのモサド、英M16と名だたる諜報機関に、北京中心地区の市民監視組織を並べた。

 一方、治安維持対策として、政府にとって比較的に低予算で効率の良さそうに見える情報員制度だが、北京の中心部を除いて熱心な募集広告は見かけられない。共産党はこのような情報員を全国に拡大したい目論見があったが、成功していない。

 「おそらく、北京の中心地区は党員が多く、政治的関心度が高い。そして、密告が好きなのだろう」と、中国のウェブライターはRFAに語った。

 ある北京のジャーナリストは、文化大革命を経たため教育を受けられなかった大媽世代は、奔放で享楽主義になりがちだと指摘する。この享楽主義と、共産党が国民に植えつけた精神論「隣人と反目し合う」という闘争心が、大媽を操るスパイ活動の背景にあるのかもしれない。







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