(CNN) 「太った乗客の隣に座らされたせいで、体をよじり続けて背中を痛めた」――。オーストラリアの男性がこのほど、アラブ首長国連邦アブダビのエティハド航空を相手取ってブリスベンの地方裁判所にそんな訴訟を起こした。
裁判書面によると、原告のジェームズ・バソスさんは2011年10月にドバイ発シドニー行きの便のエコノミークラスに搭乗。割り当てられたのは太った乗客の隣の座席だった。この乗客は頻繁に咳(せき)込んで、「口から液体をはき出していた」という。
バソスさんは客室乗務員に何度も頼んで一時的に乗員用の座席を利用させてもらったものの、結局は自分の座席で長時間を過ごす羽目になり、隣との接触を避けようと体をよじり続けなければならなかったと主張。そのために背中を痛め、それまであった症状も悪化したと訴えている。
これに対してエティハド航空側は、隣に座った乗客が肥満だったり咳をしていたりすることは珍しくないと反論、同社に責任はないとして請求の棄却を求めた。
しかし裁判所は同社の主張を認めず、バソスさんの健康診断を行うよう命じた。
もしこの裁判でエティハド航空側が敗訴すれば、肥満乗客に対する対応の是正を迫られる可能性もある。航空会社の中には、肥満の乗客の搭乗を断ったり、複数の座席を予約するよう求めているところもある。
エティハド航空の声明では、12月にバソスさんの健康診断が行われることになったと述べ、「この問題は早期に決着できると確信している」とした。