( 勤務するオフィスビルの一室から現金を盗んだ男)
空き巣や強盗事件が多発する中国では、一定以上のグレードの集合住宅には警備員が常駐している。ところが、その警備員が住民を餌食にするという事件が発生した。
7月22日未明、福建省福州市の警察が、市内の集合住宅で警備員から強盗、強姦されそうになった女性から通報を受け、現場に駆けつけて犯人を逮捕した。
女性の話によれば、自宅で聞こえる物音に目を覚ますと、そこには見知らぬ男がクローゼットや収納を開けて物色している最中だった。驚いた女性が助けを求め大声で叫ぶと、男は女性に襲いかかり、枕やタオルケットで女性の口をふさいで押さえつけた。
さらに男は、強姦を試み、女性の寝まきを剥ぎ取ろうとしてきたという。しかし、女性が必死に抵抗したことで、男は携帯電話を盗んでその場から逃走した。
その後、警察が集合住宅内の監視カメラの映像を確認したところ、当直だった警備員の男が、犯行時間に持ち場から姿を消していたことが判明した。女性が証言した犯人の服装が、警備員の制服と共通点が多かったことから、この男を拘束。供述により、付近から女性の携帯電話が発見されたことから容疑が固まり、男は逮捕された。
住民を守るべき警備員による不祥事は、全国で続発している。
同日には、海南省海口市で、集合住宅のエレベーター付近で、女性が強盗に顔などを数分間にわたって殴打され、約10万円相当のネックレスを奪われるという事件が起きた。女性は被害に遭っている間や、強盗が逃走しようとしているときにも、大声で助けを呼んでいたという。しかし、肝心の警備員は持ち場で深い眠りについており、まったく反応しなかったのだ。
また同月20日には、陝西省西安市で、集合住宅の男性住民が警備員と駐車場の管理費をめぐって口論となり、3人の警備員から殴る蹴るなどの暴行を受けた。この住民の話によれば、6月にも同じ理由で別の住民が警備員と口論の末、鉄パイプやこん棒で殴られている。警備員らは、敷地内の公園で大小便を排泄したり、団地の入り口付近で酒をあおったりと、普段から評判が悪かったという。
広東省広州市に住む自営業の日本人男性(34歳)も、集合住宅警備員の質の悪さをこう話す。
「深夜外出時に共有玄関のカードキーを紛失し、家に入れないという事態になったことがあったのですが、詰所にいた警備員に100元札(約2,000円)を握らせると、私の身分照会もしないまま、簡単に玄関を開けてくれた。私がもし泥棒だったとしても、簡単に買収されるでしょう。彼らの代わりに番犬でもおいたほうが安心です」