大学共同利用機関法人情報・システム研究機構の国立情報学研究所(NII)は6日、カメラなどによる顔認識を防ぐ「プライバシーバイザー」を商品化すると発表した。
NIIでは、カメラを内蔵したスマートフォンが普及し、SNSが発達する中で新たなタイプのプライバシー侵害が発生していると指摘。本人が意図せずに偶然写り込んだ写真がSNSで公開されることで、「誰が」「いつ」「どこにいたか」という個人情報が不特定多数に広まる恐れがあるとしている。
プライバシーバイザーでは、画面に明暗をつくる可視光を反射・吸収する素材をバイザーに貼り付けることで、目の周囲の明暗の特徴をなくし、顔検出を妨害する。電子部品や特殊な素材を必要としないため、安価での製造が可能という。
製造は、福井県鯖江市でメガネ用資材を扱う総合商社の株式会社ニッセイが行う。チタンフレームを採用し、通常の眼鏡と比較して湾曲が大きいフレーム形状を実現している。なお、チタンを採用して量産することから、金型や治具、加工費などのコストが高くなるため、鯖江市が運営するクラウドファンディング事業「FAAVO さばえ」を活用し、製作費の一部を調達するという。
価格は、3万円以上での販売を予定している。ただし、FAAVOでの支援者向けに2万円(初回100本限定)で提供するとしている。また、先着10本には鯖江製サングラス(参考小売価格1万3000円)が付属する。
従来の顔認識防止技術では、顔を物理的に隠す必要があったため、通常の対人コミュニケーションに支障をきたしていたというが、プライバシーバイザーではメガネのように着用できるため、コミュニケーションの妨げにならないとしている。