オーストラリア人の良識が勝利した。同国最大の都市シドニー近郊のストラスフィールド市で11日夜、特別市議会が開かれ、中国・韓国系勢力が求めていた慰安婦像設置計画が全会一致で否決されたのだ。日豪友好を傷つけ、コミュニティーを分断する策謀が排除された。
「まさに良識、常識の勝利だ。同国の多文化主義に打撃を与え、国民を分断させるような動きを拒否した。反対運動も紳士的かつ効果的だった」
先月現地で、設置に反対する連続講演を行ってきた国際政治学者の藤井厳喜氏はこう語った。
採決に先立つ公聴会では、一般の賛成派と反対派の各4人が意見を表明した。嘆願運動を行った中国人男性は「20万人の女性が旧日本軍の犠牲になった」と根拠のはっきりしない数字を挙げて、人権意識向上のため設置を要求した。
一方、同市に住むオーストラリア人男性は、賛成派団体が市役所前で日本語で「安倍(晋三首相)は日本の恥だ」などと書かれたプラカードを掲げていたことを明らかにし、「慰安婦像設置の本質は反日運動で、地域社会の分断につながる」などと訴えた。
オーストラリアは、移民を含む多くの民族が共生する多文化主義の国である。今回、出身国に絡む歴史認識問題を持ち込めば地域の分断につながりかねないとの懸念が強まり、設置を認めない決定につながった。
中国・韓国系住民が計28・2%という同市で慰安婦像設置が否決されたことで、同国内での像設置は厳しくなったが、前出の藤井氏は「中韓勢力は諦めないだろう。他国も含めて引き続き警戒すべきだ」と語っている。