中国の北京で9月3日に行われる抗日戦争勝利70周年軍事パレードに参加する予定の軍用ヘリコプターが16日午後、訓練中に北京郊外で墜落したことが19日までに分かった。複数の目撃者と北京市関係者が明らかにした。当局は周辺住民に箝(かん)口(こう)令を敷いたほか、全メディアに事故に関する報道を禁止する通達を出した。
複数の目撃者によると軍用ヘリコプターは16日午後3時すぎ、北京市通州区張家湾三間房村の上空で突然出火し、黒煙を出しながら近くの軍用空港の方向に飛んでいき、その直後に墜落した。乗組員の状況は不明だが、周辺には焦げ臭いにおいが充満したという。
目撃した三間房村に住む60代の男性は「飛び方をみれば、パイロットが制御できていないことはすぐ分かった。村に落ちれば大惨事になっただろう」と話している。北京市関係者はヘリは軍事パレードのために訓練をしていたと証言した。
軍当局は墜落後、周辺道路を通行止めにして処理に当たり、村幹部を通じて村民に「誰にも言うな」と指示したという。中国メディアでは事故に関する報道はなく、インターネット上ではヘリ墜落に関する書き込みは他の事故も含めてほとんどが削除されている。
習近平指導部は9月の軍事パレードを、政権の求心力を高めるイベントと位置付けており、事故を公表すれば指導部の権威が傷つき、パレードそのものへの批判につながりかねないと判断したとみられる。