マーティンン・ピストリアスさんは病気で昏睡状態になり、意識不明の植物状態となりました。
ところが2年後に意識だけが覚め、しかし体は動かせず、口も利けず、周囲の人に知らせる手立てがない状態となったのです。
そのまま10年間、体の中に閉じ込められました。
マーティン・ピストリアスさんは、12歳のときに髄膜炎にかかり、昏睡状態に陥りました。
24歳まで12年間寝たきりだったのですが、2年ほど経ってから(14、5歳のころ)意識だけが覚めたのです。
しかし体は動かせないまま、目は見えても視線を合わせることは不可能。意識が戻ったことを誰にも伝えられない状態だったのです。
母親はそんなマーティンさんの世話に明け暮れ、精神的に追い詰められた結果、息子に向かって「死んでくれたらいいのに」と言った覚えがあると、のちに告白しています。
その間も彼はずっと起きていて、それを聞いていました。そのときのことをマーティンさんはこう伝えています。
「最初からではなく、おそらく2年くらい経ってから意識が戻り始めた。周りで起こっていることは普通の人のように気づいていた。人々は僕が意識のないことに慣れていて、そのため意識が戻ったことに気づいてはもらえなかった。
もしかしたら一生このままで、孤独なのだという現実に打ちのめされた。
できることは『考える』だけだったが、その考えも時間が経つにつれ暗くなっていった。」
そこでマーティンさんは考えるのをやめたそうです。
「単に存在しているだけだった。暗いところで消えようとしているみたいに」
ところが彼の脳は24歳になってから機能しはじめ、同じころに身体も働きはじめたのです。
海外掲示板の意見をご紹介します。
●寒気がした。
●確か彼のことだったと思うが、家族が同じ部屋にいてどんなに彼が重荷かを話したり、看護婦たちが自分たちの私生活を平気で話したりしていたらしいね。
もちろん誰も彼が聞こえているとは知らなかったろうが、どんなことを話されていたとか、非常に興味深いインタビューを受けていた。
↑(投稿者)母親が「死んでくれたらいいのに」と言ったのも聞いたそうだ。
↑それって「あなたの苦しみが終わるといいのに」と言う意味の「死んでくれたら」っていう意味ではなくて?
↑そうだと言いたいが、違う。ラジオか何かに出ていたよ。
↑彼にとって悲しいことだ。
↑ショッキングなことだね。見ることだけしか12年もできないなんて。彼が狂ってしまわなかったことがすごいよ。携帯電話を持たずに5分トイレにいるだけで自分はいらいらしてくるのに。どうやって乗り越えたのかはもう人の精神力のなせる業だね。
●とてもひどいけど、CNNのインタビューで彼はうまく説明していた、「母親にとって息子は12歳で死んだんです」と。
これはいろいろ考えさせられる。50年くらい経って自分が寝たきりになり、口も利けず、自分の家族がそんなことを言ったら、この男性の声が自分の心に響くと思う。
●彼は看護婦たちに性的虐待までされていたんだ。この本を読むことを勧めるよ。
↑しかもそれが一番最低なことじゃないのだ。毎日同じ子供番組を見せられるんだ。彼は影を追って、時間をはかることを覚えたらしい。
●自分はタトゥーで「昏睡状態に陥ったら殺してくれ」と彫ろうと思う。
●病院では彼の鼓動などを機械につないでモニターしてなかったのかな。彼が興奮すると心拍数が上がるだろうし、誰も部屋にいて気づかなかったのかい。彼の体は全く反応がなかったのかな。
↑彼は病院にいてモニターにつながれていたわけじゃない。医師たちもどうしていいかわからないので、家に帰した。そして亡くなるまで待つようにと言われた。彼は亡くならなかったので、ベッドに寝かせておくだけの意識のない患者用の設備に移り、車いすで動かしたりしていた。ようやく一人の看護婦が彼のリアクションに気づき、家族に病院に連れていって検査をしてもらうようにと伝えた。
↑どんなリアクションだったの?
↑彼女はよく話かけていたそうだ。ある日、彼女が言ったことに彼の目が反応していることに気がついた。そこで彼女は彼にもっと質問をした。それから家族に医者へ診せるように伝えたんだ。
↑その看護婦は昇進すべきだね。
●読めば読むほど、最悪の悪夢だ。
●自分も体の中に閉じ込められる体験を短い間だけどした。
それは恐怖の24時間だった。周りで何が起きているかよくわかっていて、間違った推測によって自分の生死を決められようとしている。しかも自分はそれについて何もできない。テレパシーでコミュニケーションしようとしたよ。ちなみに効果はない。
現在マーティンさんは39歳で結婚しており、イギリスで生活しているそうです。
失われた時間の分も幸せになってくれることを願います。