JR九州の豪華寝台列車「ななつ星」と豪華スイーツ列車「或る列車」が30秒間だけ横に並ぶ“奇跡の瞬間”が注目を集めていたのをご存じだろうか。
舞台は大分県の久大本線豊後森駅。久大本線は単線で列車待ちが必要なため、この2つの列車が週に2度、金曜日と日曜日に同駅で“待ち合わせ”。30秒だけ横に並んで、それぞれ反対方向に進んでいた。しかし「或る列車」の走行ルートが長崎ルートに変更になるため、その奇跡も11日が最後に。そのことが雑誌やテレビで紹介されたため、この日、同駅には1000人以上のファンが集まった。
両列車が並ぶ姿を見られる1番ホームには、早い時間から次々と人が集まり、安全のため到着の1時間前から入場制限がかけられた。入れなかったファンは反対の2番ホームに流れ、JR九州広報担当者によれば「1番ホームに500人、2番ホームに100人がいらっしゃいました。駅の外から見学していた方も含めると、1000人は超えると思われます。以前は日曜日でも100~150人ぐらいでした」という。
とんでもない人口密度の1番ホームでは、到着を待つファンが少しでも前に出ようとジワジワと線路際に近づき、係員に戻されるやりとりが何度も続いた。事故やファン同士のケンカが起こっても不思議ではない状況だったが、ケガも混乱もなく全て無事に終了。実はその裏には、熱くなるファンを冷静にさせたJR九州社員の“嫌がらせ宣言”があった。
前に出ようとするファンに対し「ホームの端から50センチは下がってください。それ以上前に出ようとしたり、列車が入線するのにカメラを出すようなことがあれば、私、列車の前に立ちます。皆さん、写真撮るのにイヤでしょう」と大声で宣言した。写真に写り込む場所に立って、撮影を台無しにするというのだ。1番ホームはほぼ全てがカメラやスマホを手にした撮影目的の人たち。何時間も待って最後にそれをやられてはたまらないと、ファンも黙って言うことを聞いた。
何事もなく“奇跡の瞬間”を見届けられた裏には、社員のこんな機転を利かせたエピソードもあった。