現在、グループに別れて伝説の美食屋・アカシアのフルコースを探し出そうとしている『トリコ』。ただ、今月10日に発売された「週刊少年ジャンプ」(以下、「ジャンプ」)46号の掲載話後半あたりから、なんだか様子がおかしい。ファンもその異変に気付き、「打ち切りなのでは?」との予想が始まっている。
大人の事情により終了した『世紀末リーダー伝たけし!』。その後、「スーパージャンプ」での『RING』を挟み、2008年に「ジャンプ」に戻ってきた“しまぶー”こと島袋光年氏が、次に選んだ題材はグルメだった。タイトルは『トリコ』。“美食”が世界的に流行となった“グルメ時代”を背景に、さまざまな食材の捕獲や採取を行うハンター“美食屋”トリコが、料理人・小松と共に冒険を繰り広げる、バトル要素がだいぶ強いグルメマンガである。
連載当初は、同じく「ジャンプ」で連載中の『HUNTER×HUNTER』に“美食ハンター”が登場していることもあり、「いや、パクリかよ」「メンチとブハラはいつ出るの」といった声も見られたが、掲載順も安定し、常に上位をマーク。低年齢層の男子を中心に大ヒット(?)連載中だ。
人気の秘訣は、バトル描写や、『世紀末リーダー伝たけし!』時代から光る島袋氏のギャグセンス。また、『キン肉マン』の超人募集的な“怪物食材募集”も読者のハートを掴み、「ジャンプ」47号でも見開きを割き掲載している。なお、行くところまで行った食材募集は、遂にはグルメ界の各大陸の頂点捕食者に君臨する8種類の王“八王”にまで及び、エリア6を支配する“鯨王”ムーンは読者考案によるものとなってしまった。
しかし、その『トリコ』が「ジャンプ」46号の掲載話(グルメ342)の後半から急加速。アカシアのフルコースのひとつ、魚料理の“アナザ”を求め、エリア6に向かった小松や千代婆らが、何がどうなったのか、すでにアナザの調理を完了させてしまっている。さらに、19日に発売された同誌47号の掲載話(グルメ343)では、小松が仲間(?)にした“悪意に満ちた天災”スライム(ドン)が、宇宙に到達するほどの大ジャンプを見せたかと思えば、アカシアらしき人物を発見し「ネオ!!!! 見ィ――っけ!!!!!」と叫びながら大激突。
登場したばかりのスライムのテンションについていけないファンは、「スライムの急いで戦わせてる感」「ひねりすぎた感じなのかも。もはやすべってもいない。ただただ、ワケがわからない」「毎週読んでるのに話の筋がわからない」「話についていけん。完全に読者置いてけぼりの作者のオナニー」と困惑。中には、「こりゃ打ち切りのための駆け足」「打ち切るのか打ち切らないのか、はっきりしろ」「もしかしたら、打ち切り商法なのかも」など、打ち切りという“サウンドバズーカ”を放つファンも。
また、ファンほどではないものの、毎週『トリコ』を読む人も「もう充分連載したし、終わりでいいだろ」「元々そこまで面白くなかったし、よく続いたほう」「失速っぷりが半端ない。こういう急落は久しぶりな気がする」など、終わりを感じているようだ。
ただ、「映画爆死で見限られたか」「映画が大惨敗だったあたりから、これはまずいと思っていた」「映画が大コケする前なら、子供に人気があるって言い訳も使えていたが」「映画は大赤字で大爆死。アニメは打ち切り。おまけに原作も打ち切りかよ」と、“映画の爆死”を踏まえた上で、たとえ終わろうとも驚かないという人も見られる。
2013年の夏に全国で公開された、劇場版『トリコ 美食神の超食宝』の初週末2日間の動員数は約4万9,000人、興収は約5,500万円。先頃“爆死”が報じられた、3DCGアニメ映画『GAMBA ガンバと仲間たち』ですら、初週末2日間の動員数が約5万9,000人、興収が約7,500万円であり、それ以下の『トリコ』は“大爆死”と言わざるを得ない。とは言え、映画はもう2年も前の話。今さら映画を理由に打ち切られるとも思えないが……。
はたして『トリコ』は、大方の予想どおり終焉を迎えてしまうのか、それともこのままファンも追いつけないほどの超スピードで展開が進むのか。どうにか“スーパーフライ返し”を見せ、読者を安心させてほしいものである。
ごちそうさまでした――。