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データ改竄、業界で横行か 旭化成建材下請けの元職人が証言「あの手この手で必死にごまかした」

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やはり「氷山の一角」だったのか。建築物のくい打ち施工データ偽装が広がりをみせ、建設業界への不信感が一気に高まっている。こうした中、かつて旭化成建材の下請け会社に勤務していた元くい打ち職人の70代の男性が産経新聞の取材に応じ、「記録ミスをすればごまかすしかなかった」とデータの改竄(かいざん)が常態化していた実態を語った。

 「データ記録を取ることは、くい打ち工にとって『絶対』。でも、毎回きちんとデータが取れる保証はない」

 平成元年ごろまで約30年間、くい打ち工事で重機操作のオペレーターとして働いていた男性は、こう話す。くい打ち職人にとってデータ記録は“仕事の証”。かつてはデータ記録の枚数に応じて給料が支払われたという。

 ただ、現場で問題が生じると禁断のデータ改竄に手を染めた。具体的には、くいの長さが強固な地盤に届かなかった▽記録開始スイッチの押し忘れや記録紙のセット忘れなど人為ミスがあった▽データを記録する機械の不良があった▽大きな石があるなど地中障害が見つかった▽波形が弱いなど理想的な記録が取れなかった-などの事態が起きたときだ。

 男性は「注意深くやれば問題の発生は減らせるが、それでも一つの現場で1回くらいはミスが起こっていた」と明かす。

 改竄の際には、波形を記録する機材で使われるものと同じ特殊インクを使ったペンを使用。ペンは事前に購入しておいた。別の記録紙の上から新たな記録紙をかぶせて手書きで波形を写し取ったり、修正液で消して加筆したりした。

 「元請け会社には原本でなくコピーを提出するため、ぱっと見ただけでは簡単には見破られない」。他にも、波形が似た別の記録をそのまま流用することもあったという。
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元請けの建設会社などから、「もっといいもの(データ)を出せ」「何とかしろ」と要求されたことも。「いわれなくても、あうんの呼吸で加筆修正するものだった。あの手この手で必死にごまかす方法を考えた」。

 一方、複数のくいで長さが不足した場合は、元請けに相談して本数を増やしたり、継ぎ足して長くしたりしていた。男性は「1、2本届かなくても全体で設計時の耐久度を満たせばいい」と説明した上で、横浜市都筑区のマンションで施工不良のくいが8本あったことについては、「多過ぎる」といぶかる。

 「確かにいい加減な部分があった。これを機に見直してほしい」。男性は過去を反省しつつ、「ゼネコンなども下請けだけに押しつけないで責任を負うべきだ」と、業界全体で体質改善に取り組む覚悟を求めた。



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