分断後初の中台首脳会談後の記者会見は、中台それぞれの雰囲気を表す会見となった。
会見場は、中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統が握手を交わしたホール。両氏が会談場所に移った後、椅子が並べられ、会見場に変わった。
会談後、まず会見したのは、中国側。国務院(政府)で対台湾政策を主管する台湾事務弁公室の張志軍主任(閣僚級)が1人で会見場に立ち、習近平国家主席の発言を中心に報告した。質疑応答も、まずは座席に座れず立ち見だった国営新華社通信の記者が指名され、会談の歴史的意義について質問。張氏は準備していたかのように、6点意義を延々と説明した。
その後、香港、台湾の記者がそれぞれ質問したところで会見は終了。納得のいかない台湾人ジャーナリストが大声を上げたが、張氏は笑顔で「30分間しかないので」と断って会場を後にした。実際の会見時間は約25分間だった。
一方、その後、同じ場所で台湾側は、馬英九総統を筆頭に、首脳会談に参加した7人がテーブルに一列に並んで会見に臨んだ。双方が「指導者」の地位で行った会談だったが、テーブル上の名札には「中華民国」の「国旗」のデザインとともに「総統」などの官職名が書かれていた。
馬総統が習主席の印象も含めて会見の様子を説明した後、最初の質問は「総統の任期は近く終わるが、次の総統に何を期待するか」と厳しい質問。その後も、「会談の目標を達成できたと思うのか」などと批判的な質問が相次いだが、馬総統はやや疲れた表情を見せながらも、それぞれ答えていた。
途中から、指名されない台湾人ジャーナリストが「会談で中華民国の存在を正視せよと言ったのか」「嘘つき」などと何度も叫んだが、誰も制止するでもなく、司会者も総統も見向きもせず会見が続き、質問は12問に及んだ。馬総統は最終的に、別の質問者に答える形で、ジャーナリストに反論したが、最後まで目線は合わせなかった。