米軍跡地の北谷町上勢頭の宅地の地中から、米軍が廃棄したとみられるコンクリート片や木片などの生活ごみが見つかり、沖縄防衛局の調査で、環境基準値の1・8倍に相当する有害物質のダイオキシン類が検出されていたことが11日、分かった。一帯は返還前、米軍がごみ捨て場として使用。同局は「人体への影響はない」としているが、町は範囲の確認や周辺住民への説明を求める方針。
地主から要請を受けた沖縄防衛局が5月ごろから調査を始め、11月11日、地主の代理人と町に説明した。
関係者によると、ダイオキシン類が検出されたのは、地下5・7メートルの土壌。調査した2カ所のうち1カ所で、環境基準値の1・8倍に相当する1グラム当たり1800ピコグラムの濃度を検出した。そのほかの有害物質は確認されていないという。
宅地は、1996年に返された米軍嘉手納基地の一部の地区にある。地主は2009年、町から宅地を購入。12年ごろの掘削調査で「吐き気を催すほどの異臭」がしたため、建設工事を中断。地中から生活ごみが発見された。
この地区の大半はもともと町有地。返還後、町は「上勢頭第二土地区画整理事業」として整備。宅地造成や道路拡張など町の公共事業で、立ち退きが必要となった住民に、代替地として等価交換(売買)してきた。
同町の野国昌春町長は「米軍に起因する蓋然(がいぜん)性が高い問題。返還から19年たつが、原状回復はきちんとしてほしい。県や専門家の意見を聞きながら、地権者の不利にならない対応をしたい」と話した。