パリ中心部などで13日夜発生した銃撃や爆弾などの多発テロで同市の検察当局者は14日、襲撃犯8人が死亡したことを明らかにした。このうち7人は自爆攻撃で死亡した。
また、犯行はパリ内外の6カ所で起きたことも明らかにした。最大の犠牲者が出たコンサートホールやパリ北部郊外サンドニ地区にあるサッカー競技場の他、市内の10区や11区の3カ所などとなっている。犠牲者の総数は少なくとも153人に達した。
自動小銃AK47などによるとみられる無差別乱射が起きた同ホール「バタクラン」では少なくとも112人が死亡。自爆テロともされる爆発があったサッカー競技場スタッド・ド・フランスでは4人、10区では18人、11区では19人となっている。パリの副市長はCNNに、犠牲者がさらに増える可能性があると語った。
テロ実行犯の総数は伝えられていない。地元のCNN系列局BFMTVは政府当局者の情報として複数の襲撃犯が逃亡していると伝えた。
同ホールではロックバンドが公演している際に襲撃が起きた。脱出に成功したジャーナリストはCNNの取材に、同じく逃げ出していた友人の証言として襲撃犯はイラクやシリアについて話し合っていたことを明らかにした。フランス語をしゃべっていたという。
また、目撃者は地元ラジオに襲撃犯は発砲しながらホール内に侵入、「神は偉大なり」と叫んだと証言した。パリ警察の報道担当者は、同ホールでは襲撃犯4人が殺害されたが、うち3人は爆弾を巻き付けるベルトを用いていたと述べた。
10区では2カ所で銃撃などが起き、カンボジア料理店も標的となり、店内の客ら14人が死亡した。難を逃れた客は、窓ガラス越しに集中的な銃撃があったと伝えた。11区ではバーの近くで発砲があった。
スタッド・ド・フランスでは爆発が3度起きた。欧米の情報機関筋は、同サッカー場の犯行現場から得た諜報(ちょうほう)として自爆テロ攻撃に特有なばらばらになった遺体が見付かったことを明かした。
今回の多発テロで、犯行声明は出ていない。過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」がツイッター上で襲撃をたたえたとの情報もある。
米国のテロ対策当局者はCNNの取材に、今回の犯行の手口に触れ多数のテロ組織の戦術に類似していると指摘。多数の一般住民を犠牲にして宣伝効果を狙うアルカイダの手法などに言及した。
パリでは今年1月、週刊新聞社「シャルリー・エブド」が襲われ、12人が死亡、11人が負傷するテロ事件も起きていた。