パリ中心部で13日夜に発生した同時多発テロで、イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が14日、犯行声明を出した。ベルギーではこの事件に関連する初の逮捕者が報告されている。
パリ市内のコンサートホールや飲食店、郊外のサッカー競技場など6カ所が攻撃され、仏当局によると129人が死亡、352人が負傷した。負傷者のうち99人は重傷とされる。
コンサートホールでは少なくとも80人が死亡した。仏内務省は当初、ホールでの死者数を100人以上と発表したが、その後パリ検察が「80人前後」と訂正した。
ISISはインターネット上の声明で、ベルトに爆発物を装着し機関銃で武装した実行犯8人が、パリ市内で狙いを定めた複数の標的を攻撃したと述べた。
オランド仏大統領は14日未明、一連の攻撃を「戦争行為」と非難。「戦いは我々が主導する。容赦しない」と語った。大統領はテロが国外で計画されたとの見方を示し、ISISの犯行と断定した。
犯行声明の真偽は確認されていないが、米情報当局高官がCNNに語ったところによると、米政府もISISの犯行であることに「疑いの余地はない」との立場を示している。
ベルギー司法省の報道官によると、パリの現場付近から首都ブリュッセルで貸し出されたレンタカーが見つかったことを受け、同市郊外で家宅捜索が行われた。欧米の情報筋がCNNに語ったところによると、民家3軒が捜索の対象となった。
またパリの検察官は、現場のコンサートホールで実行犯らが使ったレンタカーを借りていた男がベルギー国境で拘束されたことを明らかにした。男はベルギーに在住するフランス人で、拘束時には別の車を運転し、ほかに2人が同乗していたという。
同検察官はさらに、コンサートホールで死亡した実行犯の1人はパリ南郊に住む30歳のフランス人であることが、指紋から判明したと述べた。この人物は犯罪歴があり、2010年に過激派思想に転向したとされるが、テロの罪に問われたことはなかったという。
仏メディアが警察筋の話として伝えたところによると、サッカー競技場前で見つかった実行犯2人の遺体の近くで、シリアとエジプトのパスポートがそれぞれ見つかった。同情報筋は、いずれも偽造パスポートの可能性が高いとの見方を示した。