米国のヒラリー・クリントン前国務長官は、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」について、その勢力を封じ込めることは不可能であり、あくまで組織自体を撲滅しなければならないと強調した。
クリントン氏のこの見解は14日、2016年の米大統領選に向けて民主党の指名獲得を目指す候補者の2回目の討論会で示された。この前日にフランスのパリで起きた同時多発テロでは100人以上が死亡。これを受けて討論会では国家安全保障問題を中心に論議が交わされた。
アイオワ州デモインで開かれた討論会には、クリントン氏とバーニー・サンダース上院議員、マーティン・オマリー前メリーランド州知事の3氏が出席し、冒頭で1分間の黙祷(もくとう)を行った。
ISISについてクリントン氏は「野蛮で非情、凶暴なジハード(聖戦)主義テロ集団」と形容。「ISISを国際テロネットワークにおける筆頭の脅威とみなす必要がある。封じ込めは不可能だ。打ち負かさなければならない」と力説した。
オバマ大統領は事件前日のインタビューで、ISISは「封じ込められている」との認識を示していた。
今回の討論会はクリントン氏にとって、国務長官時代に培った外交経験をアピールする場となった。
一方、サンダース氏は、クリントン氏が上院議員時代、イラク戦争に賛成票を投じたことを攻撃。「悲惨なイラク侵攻が同地域を完全に崩壊させ、アルカイダやISISの台頭につながった」と論じた。
オマリー氏は「国家の破綻(はたん)や衝突の新時代となった21世紀において、我々はもっと先まで考える必要がある。独裁者を1人排除するだけでは済まない」と指摘した。