スーパースターになった弟を持つ兄の心境は、うれしくもあり、対抗心もありというところだろう。ヤマハ発動機のＦＢ五郎丸歩（２９）をホームで迎え撃つのがコカコーラＨＯで実兄の亮（３１）だ。兄弟対決は２季ぶりで、亮は周囲に今季限りでの現役引退の可能性を示唆している。
１学年下の歩を「自慢の弟」といってはばからない。Ｗ杯での活躍について「兄として、日本人として、ラグビー選手としてうれしかった」と振り返っている。
一緒にラグビーを始め、自分の後を追うように弟が名門佐賀工に入学してきた。大学は関東学院に進み、弟は早稲田と進路が分かれた。トップリーグでは２０１３年に対戦。５０－１７と大勝したが、最近は故障が多く出番が少なくなっている。
「世界レベルの弟だけど、当たるときは真正面から倍以上の力でいきます。僕にもプライドがある」と１７８センチ、９５キロの体に気迫をみなぎらせている。弟は１８５センチ、１００キロ。
いつの間にか兄を飛び越えて世界に飛躍した弟も、兄との対決には真剣だ。「（近く）引退するかもしれないと言っていた。（次が）その試合になるかもしれない。兄の背中を追ってきた。自分がここまで来られたのは、一番近い目標だった兄のおかげ。コンタクトする場面があればいい」と歩。
高校まで過ごした九州で、恩返しの対決が火ぶたを切る。