標高800~1200メートルに位置する屏東県三地門郷徳文村では近年、日本統治時代に伝えられたコーヒー栽培で地域おこしを図っている。
この地はかつて台湾原住民(先住民族)のパイワン族とルカイ族の交易場所として繁栄。日本統治時代には学校や農業試験場が作られ、その際に持ち込まれたのがアラビカ種のコーヒーの木だった。
当時は世界的な品評会で優秀な成績を収め、天皇陛下にも献上されたといわれている。戦後は衰退したこともあったが、約20年前から台湾でコーヒーがブームになると、再び脚光を浴びるようになった。
同地では現在、約30ヘクタールの土地でコーヒー豆を栽培。日本統治時代に植えられた木も20本以上残っており、大切に守られている。地元の人は「村の宝だ」と胸を張る。
コーヒー栽培や原住民の生活への認識を深めてもらおうと、毎年10月の収穫期には屏東科技大学と協力してコーヒー豆収穫体験ツアーを開催。毎回好評を博しているという。