世界最大の自動車市場である中国において、消費者にとっての自動車とは「利便性を向上させる道具」という自動車本来の存在意義のほかに、自らの社会的地位やメンツなどを示すための道具という側面もある。
中国も経済発展に伴って国民の所得水準は向上しているが、それでもまだ日本のほうが所得水準は高い。2015年の日本国内における新車販売台数において、もっとも多かったのはトヨタ・アクアだったが、中国人からすると所得水準が高い日本において、高級車より実用性を重視した車のほうが売れ行きが良いという点が不思議に感じられるようだ。
中国メディアの騰訊はこのほど、「なぜ日本人は高級車を購入しないのか」と題し、日本人が高級車よりも実用性の高い車を好む理由について考察した。
近年多くの中国人旅行客が日本を訪れるようになっているが、こうした旅行客たちは日本と中国の違いを目の当たりにすることになる。記事は、日本は人口あたりの自動車保有台数が多いにもかかわらず、道路の渋滞はなく、街中でクラクションを耳にする機会が少ないことは中国人旅行客にとって驚きであると伝え、「こうした点からも日中国民の自動車に対する考え方の違いが見て取れる」と論じた。
続けて、日本人の自動車購入に関する概念について「実用性や利便性、省エネ、操作性」などを重視する傾向にあると指摘する一方、中国人は車内空間の大きさや大排気量、そして誰もが知るブランドであることを重視する傾向にあると指摘。やはり中国人は他人からどのように見られるか、どのブランドの自動車を所有すればメンツが立つのかという点を重視していることが分かる。
一方で記事は、日本人が中国人と異なり、高級車を好まないと主張する背景について、日本は公共交通機関が発達しているうえ、土地の少ない都市部では駐車場も高額であることを指摘。また、不景気が長年続いたことで若年層は自動車を購入できない状況にあると主張。もはや日本では自動車は単なる「足の代わり」であり、自分の身分を象徴する道具ではないのだと論じた。
(サーチナ)