第2次大戦が終結した1945年から戒厳令が解除された1987年まで、40年以上国民党政権によって強権政治が敷かれた台湾。それ以降は、李登輝総統(1988~2000年に在任)の下で民主化が大きく進んだが、市民の7割以上が過去の清算はまだ終わっていないと考えていることが、週刊誌「今周刊」が2日に発表した「移行期の正義」に関する意識調査の結果で分かった。
「移行期の正義」は、旧政権時代に行われた国家権力による犯罪に、民主的な新政権がどのように対応するかという概念で、今回の調査では「過去に政府が行った人権侵害や、特権を利用した公有財産の私物化などの違法行為に対する追及」と定義されている。
調査結果によると、2度の政権交代を経て、「移行期の正義」はすでに実現したかとの問いに、回答者の76.3%がいまだ現実化していないと答えた。支持政党別では、民進党支持者が83.8%で、国民党支持者でも66%と過半数を超えた。
今周刊は、国民党は独裁政権時代に、日本が残した資産の接収や、政府からの公有地や住宅の「贈与」、党が運営する企業による利益の独占などを通じ、数百億台湾元の党資産を得たと指摘。また、同党と関係の深い中国青年救国団、中華民国婦女連合会などの団体にも多額の公費が使われてきたと批判している。
調査では、国民党の党資産の没収に「賛成」と答えた人は67.4%、救国団と婦連会を追及の対象とすべきとした人はそれぞれ66.6%、72.9%だった。このほか、交通部(交通省)が管轄し、政府とのつながりが強い円山ホテルについても、63.7%が「民営化を支持する」と回答した。
調査は1月24日~26日に無作為に抽出された市民を対象に行われ、1121人から回答を得た。