刑務所警官が実名告発 「臓器強奪の闇産業チェーン」
国家ぐるみの組織犯罪「中国臓器狩り」の実態が、日を追うごとに明らかになっている。刑務所警官を自称する人物が、同所の副刑務所長ら幹部職員が10年前から受刑者を殺害し、臓器を密売していると中国国内インターネットに書き込んだ。瞬く間に広まったこの告発内容を当局は検閲対象とし、ただちに消去したため、さらなる物議を醸した。
この告発者は広東省四会刑務所の警官で劉爍と名乗る人物。3月19日、羅祖彪・副刑務所長と同幹部3人、刑務官らが臓器奪取の目的で、受刑者を計画的に殺害したと書き込んだ。「臓器強奪の闇産業チェーン」があるとし、生産状況や規律担当も存在するという。
また、この書き込みによると、受刑者は入所後すぐに健康診断を受ける。刑務所病院の警官、陳偉権は健診結果の資料を見て「生きたドナーバンク」に適した人物を選別するという。その条件は、健康で教育レベルが低い、貧困層、親類がおらず面会者がいないなど。選ばれた人物は羅副刑務所長が管理する特別施設「厳管隊」に送られる。
「刑務所の中の刑務所」
隔離施設「厳管隊」に移されたドナー候補の受刑者は、交信はおろか太陽の光まで外部とのかかわりを一切遮断される。衛星放送新唐人テレビの取材に答えた元収容者は「厳管隊」を刑務所の中の刑務所と例える。日も当たらず身動きも取れない、トイレも含めてわずか2平方メートルの部屋で監禁状態に置かれる。このなかで収容者は原因不明のまま死亡する。
この告発者の推計によると、2001年から2006年まで、四会刑務所で不審な死を遂げた受刑者は、毎年4人から6人おり、臓器を奪うために殺されたと確認できたのは16人いる。
詳細な臓器の取引価格もこの告発者は記している。「腎臓は35万元(約700万円)、心臓は600万元(約1億2千万円)、肝臓は350万元(約7000万円)、角膜は一枚あたり14万元(約280万円)」だという。
また、羅副刑務所長は臓器売買のほか、受刑者の長時間労働で得た利益の着服、麻薬取引、巨額収賄などで7.6億元(約152億円)以上の不正蓄財を得たと、告発者は暴露した。
インターネットの注目話題に上ったこの告発は次々と転載され、瞬く間に広まった。広東省刑務所管理局は20日、「調査の結果、すべての内容は事実無根」と性急に結論付け、事態の収束を図った。ほぼ同時に出回った関連情報の削除が始まった。