少年への性的虐待の罪問えず、中国の学校の寄宿舎制度が犯罪の温床に
英BBC中国語サイトは、中国・河北省石家庄市新楽市城関鎮二里半村の高校で、長期にわたり男性教師から性的虐待を受けていた少年とその両親の苦境を伝えた。
二里半村の住民の多くは、廃品回収で生計を立てている。ガラスやプラスチックのごみが山積する村のはずれに、問題の高校がある。
昨年12月、二里半村の高校教師・李建(リー・ジエン)が複数の未成年男子に対する性的虐待の容疑で逮捕された。張さん夫婦の息子はその被害者の1人だった。李被告は裁判で、「生徒たちを脅して自宅に連れ込み、彼らを縛り上げ、口に詰め物をして性的暴行を繰り返した」と供述している。
だが、中国の法律では強姦の被害者に14歳以上の男性は含まれないため、同被告に下されたのは「生徒に対する監禁拘束の罪」で懲役2年10カ月という極めて軽い刑だった。
中国教育部のデータによると、寄宿舎制度のある高校に約3000万人の生徒が在籍しているという。中国ではわずか5歳で親元を離れ、寄宿学校に入る子どもたちも少なくない。こうした学校は世間から隔絶した社会であり、教師や仲間からのいじめや虐待が存在しても、それが明るみに出ることはほとんどない。
二里半村の張さん一家は、李被告から生涯癒えることのない心の傷を負わされた。「息子はもうこの村で暮らしていけない」と涙ながらに話す。経済的に困窮している一家だが、村を離れる決意をしたという。加害者の李被告は3年足らずで晴れて自由の身になるが、被害者の張さん一家は何の補償も得られずに、世間から隠れて暮らしていかねばならない。この国の正義は一体どこにあるのだろうか。