中国のスマート便座メーカーが繁忙期を迎えている。中国人が日本で温水洗浄便座などを「爆買」していることをきっかけに、中国国内のスマート便座市場も活気づいているのだ。写真は南京のトイレ販売店。
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2015年5月8日、中国のスマート便座メーカーが繁忙期を迎えている。中国人が日本で温水洗浄便座などを「爆買」していることをきっかけに、中国国内のスマート便座市場も活気づいているのだ。では、温水洗浄便座には、海外に行って買って帰るほどの魅力が本当にあるのだろうか?温水洗浄便座を使用するには、「水」や「電気」が必ず必要であるため、地域によって使用条件も異なるのではないだろうか?北京青年報が伝えた。
実際には、スマート便座は、言われているほど「画期的」なものではなく、海外で買ったものを中国で使うと、そのクオリティが大きく下がる可能性が高い。
▼「中国の水に合わない」温水洗浄便座も
中国人が海外でぜいたく品を買うというのはすでに珍しいことではなくなっているものの、温水洗浄便座をいくつも抱えて海外から帰ってくる必要が本当にあるのだろうか?実際には、化粧品がそれぞれの国の女性の肌の質に合わせて生産されているのと同じく、温水洗浄便座も使用する国の状況に合わせて作られている。
温水洗浄便座に必ず必要な物に「水」がある。しかし、地域によって水質が異なることが原因で、問題が発生することもある。ある業界関係者によると、日本で初期からスマート便座を手掛けているパナソニックなどは、水質の違いが原因で、ノズルが詰まったり腐食したりすることがないよう、各地の水質を調査・研究している。そして、その結果を分析し、高い基準を設けることで、品質を確保している。しかし、日本に合わせた商品を生産している小さなメーカーは異なり、日本の水質だけを考慮して温水洗浄便座を生産しているため、それを中国に持って帰って使用しても、日本で使うのと同じクオリティを期待することはできない。寿命や效果は日本で使用するより大幅に下がるだろう。
その他、日本を含む多くの国は、トイレとバスルームが別々であったり、しっかりと隔てられていたりするため、温水洗浄便座に防水機能を必要としない。しかし、中国では、防水機能が必ず必要。電気回路に水が接触すると安全性にもかかわるため、便器のふたの防水性は非常に重要になる。温水洗浄便座も「水が合わない」ことがあるのだ。
▼日本と中国では電圧も異なるため変圧器が必要
また、スマート便座に不可欠な物として、「電気」も挙げられる。日本の電圧は100ボルトであるの対して、中国の電圧は220ボルトだ。つまり、日本から買って来た温水洗浄便座を使うには、変圧器などが必要ということになる。それがなければ、温水洗浄便座も、便器の上に乗せた「飾り」と化してしまう。また、取り付けに困ったり、アフターサービスを受けられなかったりと不便なことも多い。
▼体験の機会なく普及率伸びず
パナソニックは現在、スマート便座を杭州市(浙江省)の工場でのみ生産している。つまり、日本からわざわざ買って帰って来た温水洗浄便座も実は中国で生産されているのだ。そして、中国国内市場でも既に、実用的で、アフターサービスを受けることもできるスマート便座や関連の商品が多く販売されている。それなのに、日本に行って温水洗浄便座を爆買する必要がどこにあるのだろうか?
ある業界関係者によると、スマート便座の日本での普及率は95%。一方、中国における普及率は3%以下。実際には、中国国内市場でも10年以上前から温水洗浄便座が販売されていた。しかし、体験したことがない人がほとんどであることなどを背景に、その普及の火がなかなかつかなかった。日本では、公衆便所などでもスマート便座が導入されている。家庭用品と同じく、スマート便座も実際に体験する機会が必要だ。一方、比較的保守的な中国の消費者にとって、公共の場でこのような体験を行うのはまだ難しく、それが原因でスマート便座のことをよく理解している中国人は限られている。