インド・ムンバイ(Mumbai)で、残忍なレイプの犠牲となって以来42年間にわたって昏睡状態だった女性看護師が18日、死亡した。この女性の事件は、同国で安楽死の規制を緩和するきっかけになった。
アルナ・シャンバグ(Aruna Shanbaug)さん(66)は1973年、働いていた病院の地下で、看護助手の若い男に犬用の鎖で首を絞められ、性的暴行を受けた。11時間後に発見されたときには視力を失い、さらに脳幹に重傷を負っていた。以来、シャンバグさんは植物状態のまま、40年以上をムンバイのキング・エドワード病院(King Edward Hospital)で寝たきりで過ごしてきた。一方、シャンバグさんを襲った男は、7年の刑期の後に釈放されている。
同病院がPTI通信(Press Trust of India)に明かしたところによれば、シャンバグさんは最近、肺炎にかかり、人工呼吸器をつけていた。
シャンバグさんの窮状は、友人でジャーナリストのピンキ・ビラニ(Pinki Virani)さんが1999年、最高裁にシャンバグさんの尊厳死を認めるよう訴えたことで、インドでの安楽死に関する議論の焦点となった。同国の法律では、安楽死または断食による死を認めていない。しかし11年、最高裁は初めて、一定の条件がそろった場合に末期患者の生命維持装置を取り外す「消極的安楽死」を法的に認める画期的な判決を下した。
ビラニさんはシャンバグさんについて「彼女が本当に死んだのは1973年で、今回起きたのは法律上の死だ。私たちのアルナは、消極的安楽死に関する法律という形の大きなものをわが国に残した」と語った。