これまでスマホ、ブランドモノ、食品、果ては銀行から地方政府まで、数々の山寨(パチモン)を生み出してきた中国で、また新たなパチモン関連のニュースが飛び込んできた。しかも今回は、日本人も他人事ではないようだ。
「北京青年報」(5月16日付)などによると、北京市内にこのたび登場したのはニセの路線バスだ。本物そっくりにペイントされたバスには、実在の「877」という路線番号が書かれてあったという。実は、この877路線は北京でもドル箱の路線だ。なぜなら、北京市内中心部からノンストップで、世界遺産である万里の長城まで行くのだ。
手口も巧妙だ。市バスの誘導員と同じような制服を来た集団が、本物の877路線のバス停に来た観光客に、「長城行きのバスは乗り場が変わって、あっちになったよ!」と隣の別の路線のバス停に誘導。そこには、本物のバス停プレートの上からペンキで877と上書きされた偽造プレートが立ててあるのだという。外国人観光客はもちろん、地方から観光にやってきた中国のお上りさんまで大量にひっかかるのだという。
悪質なのは、その値段だ。本物は片道12元(約240円)で長城まで行けるのに、ニセ路線バスの料金は50元(約1,000円)。なんと4倍も高いのだ。しかし、長城行きのバスはいつも満員で、慢性的に路線バスの本数が不足しているので、観光客はおかしいと思っても「まぁ、いいか」と乗ってしまう人が後を絶たないのだとか。
中国では白タクが蔓延しているが、路線バスでさえ、無許可なものが堂々と走るようになったのだ。
「以前、北京空港でタクシーが捕えられなくて馴染みの白タクに電話したけど、誰も来てくれなかった。そのとき、到着ロビーのバス乗り場に1台の路線バスがやってきて、運転手が『市内まで100元(約2,000円)、乗りたいヤツいるか!』と叫んだんです。みんなそれに殺到し、タクシー難民を30人くらい一気に乗せて、猛スピードで空港から走り去った。バスの掲示板には、空港路線バスとはまったく違う番号の路線が書かれていたので、間違いなく無許可バスでしょう。それだけで、一気に6万円の稼ぎになりますからね。そりゃ、やるでしょう(笑)」(北京市在住の日本料理店経営者)
日本人も多く訪れる万里の長城行きの路線バスということで、すでに日本人も被害に遭っている可能性は高い。くれぐれも注意されたし!