韓国が中国人観光客の呼び込みに懸命だという。
日本人は円安ウォン高や、ここ数年の慰安婦問題に対する韓国の激しい突き上げに対する嫌気もあって、韓国旅行を敬遠する傾向にある。これに対し中国人は、日本でもみられるように良い品を求めて“爆買”する。人口も日本人よりはるかに多い上、たくさんの外貨を落としてくれることからも、韓国が力を入れるのは当然といえよう。韓国政府は、中国人の有名スポットである済州島に向かう旅行客を対象に通過地点となるソウルの金浦空港での通貨査証(ビザ)を免除する措置も、今月から始めた。
ところが、マナーの悪さでは世界中で有名な中国人でさえ、「韓国には二度と来ない」と、韓国の評判がどうもよくないのだ。
文化体育観光省が昨年発表した外国人観光客の実態調査結果によると、中国人の再訪問率は2010年の37.4%から13年には25.8%に低下した。リピーターの低下は数字でも裏付けられている。なぜか。
減少する中国人リピーター客
朝鮮日報は、5月11日の日本語版サイトで、中国人観光客が韓国の宿泊施設に「がっかり」したという記事を掲載した。
それによると、今年2月に中国の旧正月「春節」を利用して妻とソウルを訪れた中国人男性は、市内中心部のレジデンスに宿泊した。早速、トイレの便器が故障していたが、誰も修理に来なかったため、階下の商業部エリア内のトイレまで駆け込むはめになった。
中国人が泊まった部屋は、個人がウエブサイトを介して自宅を貸し出した、いわゆる「無許可ゲストハウス」だったという。別の“宿泊施設”では、フロントのようなものがなく、部屋の鍵の受け取りは郵便受けになっている実態もあるという。
韓国では、観光客向け宿泊施設の拡充を目指して12年に関連法が施行された後、“宿泊施設”が急増。例えば、ソウルのショッピングエリアの明洞や東大門では、ここ3年間で約20のホテルがオープンした。ところが、その多くはオフィスにもホテルにもなる「オフィステル」や、ショッピングモールだったビルの用途を変更して“宿泊施設”にしたものだった。また、自宅を改装したものや、オフィスビルだったのを改装した施設もある。こうした施設の中には、先ほどのゲストハウスのように無許可で違法に営業しているものも混在しているようだ。旅行会社を通じて団体客を受け入れたり、大手ホテル予約サイトを使ったりしていることから、観光客は申し込む際に違法な施設であることを知らないことも少なくないようだ。