456人を乗せて中国の長江(別名:揚子江)の中流を運航していた遊覧船が、竜巻と思われる突風にあおられて沈没した。船舶と共に運命を共にすべき船長と船員は、沈む船を後にして泳いで脱出した。暴風雨の中で川幅1キロ前後の長江を泳いできたため、救助要請や乗客の救出努力をする時間を逃してしまった。この便りが知らされると昨年、西海(ソヘ、黄海)で沈没したセウォル号事故の再来という非難が中国ネットユーザーの間で激しく巻き起こった。
1日午後9時28分ごろ(現地時間)湖北省荊州市監利県で、南京を出発して重慶に向かっていた遊覧船「東方之星号」が、吹き上げる突風に巻き込まれて沈没した。新華社通信によれば搭乗者のうち14人は救助されたか脱出し、6人は遺体で発見された。残りの436人は全て行方不明の状態で、人命被害の規模が大きいと推定される。
生存者の中には船長や機関士ら船員が含まれていた。彼らは乗客を救助するよりも自ら船を脱出した後、泳いで陸までたどりついた。船長は陸に上がった後、明け方4時頃に携帯電話を借りて会社に事故を知らせた。すでに船は川底に沈んだ後だった。事故当時、外部に送った救助信号が全く探知されなかったと中国のインターネットニュース「観察者網」が報道した。事故が発生した時間は乗客の大部分が就寝に入る時間だったため、船長が乗客や船員の救助義務を怠っていたという非難が起きている。
簡単な検診を経た後に公安部の取り調べを受けている彼らは「船が突然、竜巻にあって転覆した」と語った。中国の国家気象センターの薛建軍・首席予報官は「事故の瞬間、沈没事故の現場付近には12級(秒速35メートル)の竜巻が発生し、1時間97ミリの豪雨が降っていた」と話した。AP通信は船が2分で沈んだと伝えた。
救助作業は2日朝になってから始まった。国家首脳部が救助作業を陣頭指揮する中で、船舶50隻余りと武装警察1000人余りを動員して捜索作業を始めた。だが強風や雨・霧など気象条件が悪く救助作業はままならなかった。事故から15時間後の午後12時55分ごろ、65歳の女性乗客が救助された。潜水士3人が川底に沈んだ船室から救出した。この女性は比較的元気な様子だった。少なくともこの時間まで、乗客が生存できるほどの酸素が船室の中に残っていた。
事故船舶には乗客406人、旅行会社職員5人、船員47人ら計458人が乗っていたと暫定集計された。公開された乗客名簿によれば全員が中国人だった。在武漢総領事館のキム・ジンウク副総領事は「これまでのところ韓国国民は船に乗っていないと思われるが実名登録をせずに乗船した可能性も念頭に置きながら確認中」と話した。
事故水域は長江中流の武漢と宜昌の間にある岳陽に近い地域で、観光地として有名な「洞庭湖」から近い。事故船舶は1994年に建造され、長さ76.5メートル・幅11メートル、定員は534人だ。事故直後に完全に川底に沈んだ東方之星号は、2日昼から浮上し始めて船底が水面上に出ている状態だ。