シリアに渡航してイスラム過激派組織に加わったフランス人少年の母親が9日、息子の出国を止めなかったとして、仏政府を相手取って11万ユーロ(約1530万円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。
少年は16歳だった2013年12月27日、他の少年3人と共に仏南部ニース(Nice)を出て飛行機でトルコへ向かい、そこから陸路でシリアに入国した。少年は出国前にイスラム教に改宗していたが、家族には出国することは一切告げていなかったという。
本人と最近電話で話したというカトリック教徒の母親によれば、少年は今もシリアにいるという。
一家の弁護士は、トルコについて「シリアへの経由地として悪名高い」と指摘。「警察は重大な過ちを犯した。未成年が、大人の同伴者もなく、トルコ行きの片道切符の他に何も荷物を持っていなかったのに」と述べた。
母親は、息子と3人の少年たちを止めなかったとして仏政府に損害賠償を求めている。ただ、弁護士は「賠償金が目的なのではない。(当局が)間違いを犯したことを知ってもらいたいだけだ。ジハード(聖戦)に参加しようとする未成年者の出国は、絶対に阻止しなければならない」と説明している。
これに対し仏内務省は、少年は当時捜査対象ではなかったため出国を止める法的根拠はなく、政府に責任はないという趣旨の手紙を家族に送っている。