今年に入り、「メイド・イン・ジャパン」の話題が注目を集めている。春節(旧正月)期間に訪日中国人観光客が電気炊飯器や温水洗浄便座などをこぞって買ったことから、ネットメディアでは「メイド・イン・ジャパン」が熱い議論を呼び起こし、人々の生活の質から「メイド・イン・チャイナ」の産業アップグレードやモデルチェンジに至るまで、すべての話題が「メイド・イン・ジャパン」から離れることができない。「メイド・イン・ジャパン」を代表するブランドを持つセイコーエプソンの核心的価値は、70年にわたり一貫して実践し続けてきた「匠」の精神で説明することができるだろう。
■エプソンの「匠」の精神
2014年現在、世界で創業200年以上の長寿企業は5586社あり、このうち半分以上の3146社が日本に集中し1位となっている。ちなみに、2位はドイツの837社、3位はオランダの222社、4位はフランスの196社の順だ。では、長寿企業になるための秘訣とは何だろうか?実は、これらの企業には1つの共通点がある。それは、「匠の精神」を受け継いでいることだ。
100年以上の歴史を持つ企業が世界最多である日本が誇る「日本式管理」にはある秘訣がある。それは、たゆまぬ努力で進歩し続けることで、仕事に誇りを持つ精神を代々受け継いできたことだ。この精神こそが実は「匠の精神」だ。例えば、セイコーエプソンの社内では、「ものづくりの精神」や「ものづくりの技能」という言葉が浸透している。
セイコーエプソンはこれまで一貫して「省・小・精の技術」を培ってきた。「省」とは、エネルギー、時間、手間などを省くことを指し、「小」は製品を小型化して省スペースを実現させることで、「精」は正確さや精彩さなどの高精度を実現する製造技術を指す。つまり、「省」「小」「精」の技術を有していることから、セイコーエプソンは製品に必要な部品をすべて自ら設計・製造し、最後にこれらの部品を加工して製品を完成させているのだ。
■垂直統合によるハイレベル・ハイクオリティな「物作り」
「メイド・イン・チャイナ」の台頭に伴い、中国は日本の製造構造にとって直接的な脅威となっている。日本の企業は海外生産拠点を徐々に国内回帰させる動きが加速している。特に日本の製造業の核心であるハイエンド製造はその傾向が顕著だ。しかし実のところ、日本のハイエンド製造業は「メイド・イン・チャイナ」の脅威をまだ受けてはいない。日本の多くの企業が付加価値の高い製品の生産拠点を中国に置いていないこともあり、日本企業が重点的に発展させているハイエンド製品の分野では、中国は依然として競争力に欠けている。
付加価値の高い製品の製造産業において、日本の企業は依然として「垂直統合型」のビジネスモデルを堅持している。一方では、自社開発の核心的な部品を自社の最終製品に配備して販売推進することを堅持し、もう一方では、国内で製品を完成させ、海外に生産拠点を大規模に移さないことを堅持している。