歌舞伎町の「ぼったくり被害」が激化している。観光地化という「昼の顔」を持つようになり、規制・摘発が強化され、“監禁”“脅迫”などの違法行為は減ったが、ぼったくり関連の通報は昨年一年で670件だったのが、今年1~4月だけで1052件と激増。訪れる観光客数と比例し、被害は収まりを見せない。
「歌舞伎町交番の前には毎晩のようにぼったくり被害を訴える行列ができてますよ。店の連中も慣れたもんで、悪びれてません。警察は民事不介入ということで、『当人同士で話し合って』というだけで何もしてくれませんから」(ぼったくり事情に詳しいライター)
少なくとも昨年までは歌舞伎町におけるぼったくりの防波堤となっていたのが「無料案内所」だった。しかし現在では、「だったら案内所を紹介します」と紹介された無料案内所が、実は店と提携していたり、ぼったくり店直営だったという事例が多発している。
試しに記者が一番街で客を装い、案内所へ入り「その店は今混んでいる」などというので案内所を出ようとすると聞き耳を立てていたのか、突如キャッチが現れ「その系列店を紹介します」などと店へ誘導されそうになった。この流れの良さ、結託を疑うに十分である。だが新宿警察署による立て看板に「キャッチ、客引きは100%ぼったくりです」と注意書きがなされているのを理由に拒否した。
歌舞伎町
「客引きは100%ぼったくりです」の立て看板も
前出のライターによると、昨今の標準的な手口と被害金額の例は以下のとおりだ。
「1時間セット4000~5000円のはずが実際は女のコのドリンク1杯1万円、サービス料40%が加算され合計30万円近く請求。拒否すると『女のコに触った』と難癖をつけ迷惑料で30万円上乗せされた例があります」
文句を言おうにも無料案内所は既にシャッターを閉じている、という寸法だ。
そして最近では、やはり外国人観光客すらもぼったくりの餌食になっている。それが外国人と日本人の混成チームによるぼったくり風俗だ。
歌舞伎町で時折、ボランティアの観光案内を行っている中国人は「私のところに毎日のように中国人観光客が『ぼったくられた!』と泣きを入れにくるよ」と話す。
◆外国人キャッチの餌食になる観光客多数
客に声を掛けるのは外国人キャッチで、店の経営者は日本人。外国人のほうが外国人に接触しやすいし、客も警戒心が弱くなる。「SEXできるよ」と声を掛けてお店に連れていき、「店長を呼びますね」と日本人にバトンタッチして「日本のAV女優とSEXできる」など、日本人なら絶対に引っ掛からないような大胆なことを言ってラブホテルやレンタルルームに連れていく。その際に「前金」で20万~30万円を要求するのだ。
「観光客には現金でそれぐらい持ってきている人もいます。特に狙われるのは中国人だったりしますね」(前出のライター)
そして予想通り、いつまでたっても誰も現れず。騙されたと気がついて店に行っても「知らない」と言い張られて終わり。カネもなくなり、泣く泣く母国に帰るしかなくなる。
歌舞伎町で数十年勤務する別の関係者は、外国人を巻き込んだトラブルが激化することを危惧している。
「実際に’80年、歌舞伎町のキャッチバーで高額請求された大学生がビル3階の窓から逃走を図り転落死、’95年には法外な料金の支払い拒否をした客が善福寺公園でひき逃げ偽装され殺された事件などがあります。外国人ぼったくりが増えた以上、観光客も被害に遭う可能性はある」(同)
ふと見回すと、さっそくアフリカ系のキャッチに引っ張られている中東系観光客の姿が。ぼったくりの国際化により新たなカオスが生まれるのか……?