パキスタン東部パンジャブ(Punjab)州の村で、イスラム教を冒涜(ぼうとく)した疑いを掛けられたキリスト教徒の夫婦が、イスラム教徒の群衆に殴り殺されそうになっていたところを、駆け付けた警察官によって救出される事件があった。警察は後に、事件をあおったとしてイスラム聖職者1人を拘束した。地元警察署長が2日、明らかにした。
事件は6月30日、パンジャブ州のマッキ(Makki)村で起きた。同国の地方部では、イスラム教冒涜の嫌疑をかけられた場合、無実であったとしても、住民らによる死傷事件に発展することが多い。今回の事件は当局の介入が成功した珍しい事例となった。
地元警察署長のソハイル・ザファル・チャッタ(Sohail Zafar Chattha)氏によると、キリスト教徒の夫婦は、さまざまな大学名とその大学のスローガンなどが書かれた古い広告用の布地を手に入れ、自宅の敷き布団に使っていた。
そのスローガンの中から、イスラム教の聖典コーラン(Koran)が出典とされるアラビア文字が見つかり、地元の理髪師と聖職者2人が冒涜だとして2人を糾弾。「村のイスラム教徒たちが集まり、自分たちが何をしたのか分からないままの2人を引きずり出し、殴り殺そうとしているところだった」と、チャッタ署長はフェイスブック(Facebook)に投稿した。
チャッタ署長は後にAFPの取材に対し、「警察官の到着が間に合い、2人は群衆から救助され、ラホール(Lahore)のキリスト教指導者らに引き渡された」と語った。
聖職者の1人は逮捕されたが、もう1人の聖職者と理髪師はいまだ拘束されていない。警察当局が事情を聴いた住民の中には、理髪師が夫婦の住宅を手に入れようとしていたのではないかと語っている人もいる。