タイで九州がちょっとしたブームになっている。きっかけは、2月から4月にかけて北部九州でロケをしたドラマが放送されたこと。雑誌や新聞が九州を特集し、旅行イベントでも九州のブースがにぎわいを見せる。
ドラマは、「STAY 佐賀…チャンジャキットゥントゥー」と「きもの秘伝」。どちらも佐賀県フィルムコミッションが中心になってロケを誘致し、佐賀、福岡などで撮影された。
人気俳優が出演した話題作とあってメディアがロケ地の九州に注目。女性誌「クワンルアン」は6月上旬号で23ページを費やし、波戸岬、虹の松原など佐賀県内のロケ地や観光地を特集。下旬号では福岡の寺社や和菓子店を取り上げた。同誌のヌットラダーさんは「東京や大阪と違い、九州にはスローライフがある。それが魅力」と言う。
フリーペーパーの「AWAY」は4月号で大分県別府市の温泉を、6月号では「シュガーロード」と呼ばれる旧長崎街道沿いの菓子を特集した。編集者のトゥープさんは「小さくてすてきな町がたくさんある」と九州の魅力を語る。
大手紙「デイリーニュース」ではドラマのロケ地をめぐる連載が日曜版で進行中。全4回の予定という。
タイから日本への観光客は2013年7月にタイ人の観光ビザが免除されて以来、増え続けている。特に九州は、格安航空会社が昨年6月にバンコク-福岡便を就航させてから急増。法務省によると今年1~3月に九州を訪れたタイ人は1万3387人で、前年同期の2・2倍になった。
6月25~28日にバンコクであった旅行フェアには、九州観光推進機構と長崎市が出展。ドラマのロケ地やメディアに登場した観光地について質問する人が目立った。同機構の藤波清孝次長は「九州の知名度は確実に上がっている。新しく詳しい情報を発信して、より多くのタイ人観光客を引きつけたい」と話していた。