日本に対する最初の印象はそれほど良くなかった。ネット掲示板で日本人について、「地下鉄で静かなのは決して冷たいからではなく、他人の邪魔をしないようにという優しさから。中国人は表面上は親切を装うが、実際は薄情だ」と書いてあるのを見て、「こんなのは偏見だ」とスルーしていた。実際、日本人はみんな無表情だったが、確かに日本人はそれほど冷たくないようだった。
日本で何度か道を尋ねたが、みんなまるで部下が上司の質問に答えるかのようにきびきびと丁寧に対応してくれた。地下鉄の乗り換えで迷っていたとき、近くにいたおばさんに尋ねた。おばさんは、わざわざかばんからメガネを取り出してかけた。目が悪かったようだ。うわさに聞くような「目的地まで連れて行ってくれる」ということはなかったが、私たちが行くべき方向を身ぶり手ぶりで教えてくれた。各地の公共施設やサービスからも、日本人の配慮と温かさを感じた。
そんな経験をして帰国したのだが、上海浦東国際空港のトイレを使ったときに、手を洗い終えてから備え付けの手拭き用の紙が切れているのを見て、「中国に帰ってきたんだな」と実感した。日本の基準に慣れてしまったからだろう。私は友人たちに、「時差ボケを治さないと。実際の時差は1時間だけど、ほかのことに慣れるまでは、だいぶ時間がかかりそう」と言って回っている。