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振り込め詐欺一網打尽にさせない暴力団の巧妙策略

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 警察庁は24日、暴力団事件や薬物密輸など組織犯罪への取り組みを特集した2015年版警察白書を公表した。「新たな脅威」と位置づけ、取り締まり強化案件となったのは昨年、被害が過去最悪となる約565億円となった振り込め詐欺などの特殊詐欺だ。

 白書によると特殊詐欺などで摘発された暴力団の構成員や準構成員は698人。全体の35・2%を占めており、被害金が暴力団へ流れている実態がうかがえる。警察庁は、現金回収役の「受け子」から指示役への突き上げ捜査などを進めることで、犯行グループ中枢の摘発を目指す方針を掲げている。

 元暴力団組長は「振り込め詐欺はセコくて恥ずかしい犯罪だったが、暴排条例で銀行口座を持てなくなったり、フロント企業での正業ができなくなったので、本格的にかかわるようになった」と指摘する。そして暴力団が組織した振り込め詐欺などの特殊詐欺グループは、警察に対して、非常に洗練されたものだ。振り込め詐欺犯罪では「受け子」がまず逮捕されるもの。

 元組長は「受け子が逮捕されるとグループの他の人間について供述したがります。『なぜ自分だけ、こんな目に遭わないといけないの?』という被害者意識が強いからです。警察の取り調べも、そのあたりの心理をくすぐって一網打尽を狙います」と語る。


 しかし犯罪の“プロ”暴力団は、組織自体まで捜査の手が伸びないグループを作っている。

「受け子とかけ子(架電係)、指示係、人材調達係を完全に分け、互いに接触できないようにし、誰も首謀者を知らない状態にしています。決して接触させないように管理すれば、受け子だけが捕まり、他には捜査が及びません」(同)

 受け子は捕まれど、中枢までたどりつくのは難しそうだ。




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