(CNN) ロシア・サンクトペテルブルクの警察当局は8日までに、年金受給者の女を少なくも11人の殺害容疑で逮捕したと明らかにした。人肉食とオカルト信仰が動機だったとみて捜査を進めている。
「切り裂きばあさん」こと元ホテル従業員のタマラ・サムソノバ容疑者(68)をめぐっては、サンクトペテルブルク郊外のアパートから、真夜中に大きなプラスチックの袋数点を持ち出している様子を捉えたセキュリティー映像が浮上。警察は7月28日に同容疑者の逮捕に踏み切ったという。
警察によれば、袋には同容疑者が一時的に同居し世話をしていた79歳の女性の遺体の切断部位が入っていた。近隣住民の証言によると、この女性は親切な人柄の退役軍人で、福祉関係者のアドバイスで同容疑者を同居させていたという。
逮捕後の同容疑者は、法廷で報道陣に向かって投げキスをしたり、裁判官から身柄勾留の決定を伝えられて喜ぶ姿を見せている。おりで囲われた席から報道陣に「私に殺人を強いた上の階の狂人に取りつかれている」と述べる場面もあった。
同容疑者はまた、老齢で住む場所もなく、意図的に全ての問題にかたをつけたと供述。熟慮の結果、「刑務所に入るしかないと決心した。そこで死を迎え、国家の手で埋葬してもらうことになるだろう」とも語った。
警察は少なくとも11人の死亡について、同容疑者と結びつける証拠があると発表。人肉食の容疑を裏付ける直接の証拠は提示していないものの、同容疑者が事件を詳細に記した日記をつけていたことを明らかにした。日記では人肉食やオカルト信仰に言及されているとみられる。容疑者は少なくとも2件の殺人を自白しているという。
最後の殺人現場となったアパートの近隣住民は、事件にショックを受けているものの、驚きはない様子。殺された女性の長年の友人は「本当に奇妙な女性。こうかつで疑り深い」と述べる。警察は過去の記録を洗い、殺人が何件に上るのか余罪を追及する構えだ。