(アウトドア用品店に展示された折りたたみ椅子に座りこむ納涼族たち)
日本列島が記録的な猛暑に見舞われる一方、中国各地でも厳しい暑さが続いている。
8月9日には、広東省珠海市で日中最高気温が38.4度に達したほか、同省広州市や珠江デルタの各都市でも35度を記録。翌10日には、河南省洛陽市や湖南省株洲市でも35度を記録している。
そんな中、ちまたでは「納涼族」と呼ばれる人々が出現し、話題となっている。
納涼族とは、自宅にエアコンがない、もしくは電気代を節約するために、商業施設や公共施設などエアコンの効いている場所で、ところ構わず涼を取る人々のことである。
中国版Twitter「微博」では、上海地下鉄11号線の真如駅内の通路にたむろする、数十人の納涼族の写真がアップされ、話題となっている。彼らは連日にわたって出現しており、利用者の妨げになっているとの批判もある。
上海市在住で自営業の日本人男性(39)によると、納涼族たちは地下鉄の車両内にも侵入しているという。
「行く当てもないのに車両内の座席を占領し、おしゃべりに興じている中高年がよくいます。電車が終点に着くと、再び逆方向の電車に乗り換えるという寸法で、日がな一日電車に乗って涼んでいる。彼らのお陰で、始発駅から電車に乗っても座席に座ることは不可能です」
さらに微博には、浙江省杭州市の大型家具店・イケアが納涼族に占拠されている様子をとらえた写真も数多くアップされている。展示品のソファやベッドに身を横たえた彼らは、まるで自宅でくつろいでいるかのようである。
「出稼ぎ労働者たちが多く住むエリアの銀行のATMコーナーには、ゴザを敷いて座り込んでいる人たちが大勢います。深夜になっても我が物顔で寝ている家族などもいる。不気味すぎて、金を下ろすこともできない」