韓国の尹炳世外相は14日夜、戦後70年談話について電話会談した岸田文雄外相に対し、「内容を綿密に検討中だ」としつつ、「日本政府の誠意ある行動が何よりも重要だ」と述べた。
談話自体よりも、慰安婦問題などの懸案で、日本の今後の姿勢を注視する考えを示唆したものとみられる。韓国外務省当局者が明らかにした。
韓国外務省は、15日に行う朴槿恵大統領の演説後に声明を出す見通し。韓国政府は最近、談話について「日本の歴代内閣の歴史認識を継承すべきだ」と述べるにとどめ、抑制した対応を維持してきた。談話は、歴代内閣の歴史認識継承が表明され、「侵略」「植民地支配」「反省」「おわび」にも言及。今秋の日中韓首脳会談、その際の日韓首脳会談を目指し、日韓関係改善に向けた流れを断ち切りたくない韓国政府は、一定の水準を満たしたと判断し、冷静な対応に努めるとみられる。
また、与党セヌリ党は「歴史に対する反省と謝罪に言及したという点では、意味ある談話だ」と一定の評価。一方で、過去の談話に言及しながら「おわび」に触れた点などに関しては「侵略の歴史に対する反省と謝罪を直接的に言及するというより、過去形として遠回しに表現した。慰安婦についても間接的に言及したことは残念な点として残る」と指摘した。
これに対し、韓国の聯合ニュースは「日本の植民地支配と侵略を明示的に認めなかった」と指摘し、「(戦後50年の)『村山談話』の歴史認識から大きく後退したと評価される見通しだ」と分析。談話の「私たちの子や孫、その先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」という部分に関しては、「歴代内閣の立場継承という言及の真意さえ疑わせる」と酷評した。