暗闇に描かれる炎の放物線が美しい「花背の松上げ」が15日夜、京都市左京区花背八桝町の河川敷で営まれた。次々と投げ込まれる松明(たいまつ)が星空に舞い、見物客を魅了した。
松上げは、洛北の山間部に伝わる伝統行事で、精霊を送り、火伏せや五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する。祖父、父と親子三代で臨んだ日吉中2年稲本光君(13)は今年初めての参加。「小さい頃からずっとみてきて憧れていた」と、祖父に作ってもらったという縄付きの松明、上松を手に緊張の面持ちだった。午後9時すぎ、約千本の松明に火がともされ、祭りが始まった。
法被姿の男たちが高さ約20メートルの灯籠木(とろぎ)の先端に付けられた大笠に向け、上松を勇壮に投げ上げた。上松が大笠に入ると、約2千人の見物客から歓声と拍手が起こった。