学生デモを批判するツイッター発言で抗議の声が高まっていた自民党の武藤貴也衆院議員(滋賀4区)に、新たな醜聞が加わった。「国会議員枠で買える」。知人に未公開株購入を持ちかけ、さらには出資者との金銭トラブルに発展していると週刊誌に報じられた。19日に離党届を出す事態になったことに対し、滋賀県の有権者や若者からは「議員の資質がない」「辞職すべきだ」などと厳しい批判の声が上がった。
武藤氏の地元の近江八幡市で郷土史を研究する山中靖城さん(80)は「政治家として幼く勉強不足。政治信条とは別に、人として成長してほしかった」と残念がる。2期目の当選で自信満々のような姿が見え過ぎ、あいさつなど礼儀を欠く場面もあったという。「議員を辞め、地元で地べたをはって頭を下げてから出直すべきだ」と指弾した。
武藤氏に一票を投じた矢野義男さん(70)=近江八幡市=は「支持していた一人として残念。若く、安全保障などに熱心に取り組んでいた。報道が事実なら、お金でこんな事をしてはだめだ。許されない」と批判した。
衣料品販売会社社長の小中儀明さん(39)=東近江市=は「(武藤氏の)安全保障の考え方には共感するところもあったが、今回の件で政治不信が深まった。こういう人物だと見抜けなかった有権者にも問題はあると思う」と話した。
武藤氏は7月30日、安全保障関連法案に反対する学生団体「SEALDs(シールズ)」の主張について、ツイッターに「戦争に行きたくないという考えは極端に利己的考え」と書き込み、与党からも批判の声が上がっていた。
8月以降、JR近江八幡駅などで武藤氏の議員辞職を訴えてきた県内の若者団体「しーこぷ。」代表の龍谷大4年藤川結さん(21)=大津市=は「『国会議員枠の未公開株』なんて、それこそ利己主義の塊だ」とあきれる。「民主主義を否定する言動といい、今回の件といい、議員としての資質がない」と憤り、自民党に対しても「武藤氏を公募で選んだ説明責任があるのでは」と指摘した。
「シールズ関西」の関西学院大4年寺田ともかさん(22)=大阪府=は「国民は国家のためにあるなどと勘違いしており、議員になるべき人物ではなかった。まずは今回の疑惑を説明すべき」と強調。「自民党も、本人の説明がないまま離党させるなど、安保法案を通すため、都合の悪いことは公表しないでおこうとする思いが見える」と話した。