中国沿海部・山東省の化学工場で22日夜、大きな爆発と火災が起きてこれまでに9人がけがをし、有毒な化学物質が爆発の原因とみられることから、工場から半径1キロの範囲に住む人たちが避難しています。
中国のメディアによりますと、山東省※シ博にある化学工場で日本時間の22日夜10時ごろ大きな爆発と火災があり、およそ20台の消防車や警察が出動して消火活動にあたっているということです。
この爆発で、工場から5キロほど離れた場所に住んでいる人が揺れを感じたほか、多くの住宅で窓ガラスが割れたということで、これまでに9人が病院に運ばれ手当てを受けているということです。消防によりますと、気化しやすく燃えやすい性質があるアクリロニトリルという有毒の化学物質が爆発の原因とみられるということで、警察は現場に通じる道路を封鎖し、工場から半径1キロの範囲に住む人たちが避難しています。
中国では今月12日、天津の港近くにある倉庫とその周辺で大規模な爆発が起き、22日までに121人が死亡、54人が行方不明となっていて、生産現場での安全管理が大きな課題となっています。
※シは、さんずいに「災」の「火」が「田」。
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中国の大手ポータルサイトはインターネット上に爆発があった工場だとする映像をのせました。映像では暗闇の中、赤い炎が建物の周辺の数か所で勢いよく上がり、一帯に広がった煙によってあたりがうっすらと照らし出されている様子が確認できます。また、遠くから人々が心配そうに火災を見ている様子や、消防車などの緊急車両が数台走り去ったり、けが人を救急車に運び入れたりする様子も映っています。
アクリロニトリルとは
アクリロニトリルは、アクリル繊維や合成樹脂などの原料として広く使われている引火性の高い猛毒の液体です。厚生労働省によりますと、皮膚に触れたり、吸い込んだりすると生命に危険を及ぼすほか、がんになるおそれもあり、保管する際は容器を密閉することや火や熱から遠ざけることが必要だということです。
爆発工場付近には日系企業56社
山東省を管轄する青島の日本総領事館によりますと、爆発があった工場のある※シ博では日本人32人が在留届を出しているほか、日系企業56社が進出しているということです。いまのところ、日本人が被害にあったという情報は入っていないということで、総領事館が情報収集にあたっています。