2020年東京五輪の公式エンブレムの審査委員代表を務めたグラフィックデザイナーの永井一正氏(86)は26日、エンブレム作者のアートディレクター、佐野研二郎氏(43)の原案はベルギーのリエージュ劇場のロゴとは「似ていなかった」と証言した。原案は他の商標と似ている点があったため、修正して今の形に決まったという。
永井氏によると、佐野氏の原案は「東京」の頭文字「T」を図案化したもので、ベルギーの劇場名の頭文字「L」を想起させるエンブレム右下の部分はなかった。その後、商標登録に向け大会組織委員会と佐野氏が協議し、他の商標との類似を避けるためにデザインを練り直すなかで「L」にも見えるデザインが盛り込まれたという。
永井氏は「ベルギーのデザイナー側は盗作と言っているが、佐野氏の原案とは似ていないし、コンセプトも成り立ちも全く違う」としている。
これまで大会組織委から、選定の経緯について発言しないよう指示されていたといい、永井氏は「原案や応募作品全作など、審査過程も公表してほしい」と語った。
エンブレムは昨年11月の審査会で審査委員8人が投票。104点から入選作3点を選び、委員の議論を経て佐野氏の原案に決定した。