第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)の男子200メートルで、短距離2冠を達成したウサイン・ボルト(Usain Bolt、ジャマイカ)だが、電動立ち乗り二輪車「セグウェイ(Segway)」に乗ったカメラマンと激突し、お祝いムードに水を差すアクシデントがあった。
200メートル決勝の後、セグウェイに乗ったカメラマンが、至近距離から優勝したばかりのボルトを撮影していたところ、バランスを崩して裸足のボルトに突っ込んだ。
地元局のカメラマンは、会場に設置されていたレールに衝突すると、バランスを崩して後方に転倒。その勢いで押し出されたセグウェイがボルトの脚に当たり、ボルトも後ろ向きに倒れ込んだ。
ボルトは慎重に立ち上がると、再び周囲の歓声に応えた。
このアクシデントはすぐさまインターネット上で知れ渡り、「倒されちゃったよ」とコメントしたボルトは、「ジャスティン・ガトリン(Justin Gatlin、米国)による復讐(ふくしゅう)説を、これから広めようと思っている。でも大丈夫だ、心配ない」とおどけた。
今回のアクシデントでは、プライドを傷つけられるにとどまったボルトだが、同様の事故に備え「脚に保険をかけた方が良いかな」と話している。
「かなりヒヤッとしたけど、こういう事故は起こり得るものだ」
それでもボルトは、「いくつか小さな傷ができたが、練習中にもちょっとしたけがはあるし、大丈夫だ」と続け、「足首ではなく、ふくらはぎだから、問題ないと思う」と周囲の不安を一蹴した。
男子200メートルで大会4連覇を達成し、2008年の北京五輪以降、五輪と世界選手権の短距離個人種目で11個の金メダルを獲得しているボルトは、焦るあまり顔を赤くしたカメラマンが、必死に謝罪してきたことを明かした。
ボルトは、「彼は最大限の謝罪をしてきたよ」と笑ったが、「彼の方がひどい倒れ方をしていたから、大丈夫かどうか確認した。バランスを崩して後方に倒れていたからね。頭を打ったかは分からないけど、大丈夫そうで何よりだ。深刻な事態にならなくて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
ボルトは同時に、どさくさに紛れてスパイクを観客の一人に持っていかれたことを明かしている。
「フェンスを跳び越えたとき、一人の男性がスパイクを持たせてくれと言ってきたから、渡してやった。インタビューを受けながらあたりを見渡したら、彼は消えていたよ。逃げ足が速いね」