TBSが8月31日に放送したドラマ「SP八剱貴志」でとんでもない演出をやらかした。贈収賄事件で逮捕される政治家の胸に、北朝鮮による拉致被害者救出を祈るシンボルであるブルーリボンバッジがついていたのだ。同局は「他意はなかった」と説明するが、 リボンの意味をどこまで理解していたのか。被害者家族らは救出運動に悪印象を持たれかねないと怒りの声を上げている。
4日付の産経新聞が報じた。同紙によると、「悪役」ととられかねない政治家にバッジをつけた演出に対し、東京都荒川区議の小坂英二氏が1日、TBSに抗議し、事実関係を確認。
TBSの担当者は、小坂氏に番組の企画、制作は別の制作会社が担当したと説明。着用理由については、ニュースなどで安倍晋三首相をはじめ多くの国会議員がバッジを着用しているのを見て「(バッジをつけることで)政治家っぽい雰囲気を出せると思った」と説明したという。
同紙の取材に、TBS広報部は「(バッジは)ドラマの小道具として他意なく用いたが、配慮に欠けていた。今後は注意していきたい」とコメント。バッジ使用の詳しい経緯や理由は「担当者が不在のため答えられない」としている。
被害者家族も不快感を示している。1978年8月に拉致された増元るみ子さん(61)=拉致当時(24)=の弟、照明さん(59)は「ブルーリボンは北朝鮮への圧力で、多くの人がつけることで『日本人は拉致被害者を忘れていない』という無言の意思表示だと思っている。イメージダウンにつながるようなことはやめてほしい」と話している。