2020年の東京五輪・パラリンピックのエンブレムを取り下げたデザイナーの佐野研二郎氏(43)が4日、一連の盗用疑惑を巡る騒動で、代理人を通じて報道機関に「近時の過熱報道について」と題された文書を送付した。文書では「極めて遺憾ながら、第三者の作品が依頼者(編集注・佐野氏のこと)のデザインとして報じられ、更には、創作時間等を正確に把握・確認することもない記事が『酷似』等の見出しと共に報道されることにより、あたかも依頼者の著作権侵害を推認・示唆させるような報道が為されるに至っています」と現状を憂慮。エンブレム撤回以後も佐野氏の過去の作品について、盗用を疑う声は増すばかり。
「そもそも、思想・アイデアそのものが著作権法に基づき保護されるものではないことは、著作権制度の国際的かつ基本的な原則」。代理人弁護士が所属する法律事務所はエンターテインメント分野に強く、知的財産権や著作権のプロフェッショナルとみられる。
続けて、「万が一、本書簡到達後も適切な取材に基づく客観的な報道が為されず、同様の取材・報道態勢が続くのであれば、名誉棄損等の法的責任を伴うものと判断した段階で、直ちに法的措置を講ずると共に、関係機関等に対して人権侵害を理由とする申立てを行う予定であることを、念のため申し添えさせていただきます」としている。
佐野氏追及に躍起なネット世論は佐野氏の会見を求めている。佐野氏はエンブレムが取り下げられた1日に「模倣や盗作は絶対にしていない」「もうこれ以上は、人間として耐えられない限界状況」などとホームページ上でコメントを発表しただけで、本人は雲隠れしたまま。
代理人は法律事務所を通じ、「(佐野氏の)会見の予定はありません」と話している。無言のままで汚名返上となるかは不透明だ。